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喬太郎さんの『仏壇叩き』:笑いの一切ない緊迫感がたまらない。

「仏壇叩き」喬太郎

上野鈴本演芸場2024年7月中席夜の部は特別企画公演「喬太郎企画ネタ尽きました、お客様決めてください」。3日目は『仏壇叩き』です。
またしてもすげえもん、見させてもらいました。

黄金の大黒 小きち
のっぺらぼう やなぎ
太神楽曲芸 翁家勝丸
夢の国コブシーランド 小せん
紙入れ 志ん輔
ウクレレ漫談 ウクレレえいじ
銀河の恋の物語 小ゑん
千早振る 扇辰
仲入り
奇術 如月琉
夏泥 文蔵
三味線漫談 林家あずみ
仏壇叩き 喬太郎

毎年恒例となっている柳家喬太郎さんの鈴本ネタ出し公演。
今年は喬太郎さんが事前に出した20の演目の中から、人気投票によって選ばれた上位10作品(古典&新作・改作各5)を、下位から順にかけていくというもの。

3日目は古典部門第3位の『仏壇叩き』。
原作は三遊亭圓朝の『名人長二』で、この1部分の口演です。

本所の〆切(今の東京スカイツリー辺り)に住む長二は、若いながら師匠を越えるほどの腕前を持つと評判の指物師。
男の三道楽「飲む・打つ・買う」も嫌いで、儲けた金も貧乏人に授けてしまう豪気で優しい職人でもある。

この評判を伝え聞いた蔵前の坂倉屋助七という大店の主人が,長二に子々孫々まで保つ、でも細工はしっかりとした仏壇の作成を依頼する。
7か月後、でき上がった仏壇を前に満足げな坂倉屋に、長二が告げた値は「百両」。
あまりの高額に足下を見たなと激怒した坂倉屋は、才槌で仏壇を壊そうとするーー。

娘の制止も振り切り、「エイッ、エイッ!」と仏壇を打ち据える坂倉屋の演技が鬼気迫る。
対照的に、不器用長二の異名をとるほどの職人は、必要最小限の言葉を返して成り行きを見届ける。
物作りに一切の妥協がなく、クライアントに対しても一歩も引かない名人・長二の高潔。

一切の笑いがない、水を打ったように静まり返る客席もいい。

演目を下調べせずに、なんとなく足を運んだのですが、結果大正解。
シリアス大好物なので、お導きとしか思えない初見でした。
喬太郎さんといえば新作のイメージでしょうけど、個人的には古典のほうが好きだったりします。
真の意味での二刀流です。

この日は代演が多いなか、ヒザ前の文蔵さんが『夏泥』を。なんだか得した気分。
白酒さんの『花見の仇討』を春に聴きたいように、夏といえば文蔵さんでもあるんですよね。

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hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

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