2020年(令和2年)2月23日、黒門亭の第二部を観てきました。この日のトリは橘家文蔵さんで、演目はお楽しみ。前回の伯楽さんのように、黒門亭はネタ出しされる回もあります。ネタ出しか、ナイショか。どちらも楽しみとして良いのですが、「何をやってくれるのかなぁ」とワクワクしながら演者を待つのはいいもんですね。「(この落語家で)聴きたかったんだよ!」という、客が個人的にやってほしいと思った演目が始まったときのうれしさは、喩えようがありません。
金原亭馬太郎「厩火事」
古今亭駒子「白鳥版 明烏」
柳家さん福「だくだく」
橘家文蔵「子別れ」
駒子さんは、二つ目時代(ちよりん)に一度だけ見たことがあり、それ以来。「白鳥版 明烏」は古典メジャーの廓話を鬼才・三遊亭白鳥さんが独自に改作したもの。この“改訂版”を聴くのは初めてで、「明らかに物語の筋は『明烏』なのに、なんか違う」と思ったら、そういうことかと分かりました。
遊郭の遣り手婆さんが、ウブで固い時次郎さんに遊んでもらおうとひと肌脱ぐくだりが出色。「お籠りだ」と時次郎を騙して、遊郭を龍宮に、遣り手婆さんは自ら乙姫にコスプレさせる。性別はおろか、古典の定番人物までが大胆にアレンジされています。大笑いしましたが、いかにも白鳥さんが考えそうだなと得心しました。
文蔵さんは「子別れ」でした。プログラムではネタ出しでなかったものの、自身のTwitterで噺を“予告”しており、それを目にして聴きに行ったようなものですが、諸般の事情で違う噺に。もっとも文蔵さんの「子別れ」は初めて聴くのに加え、とにかく芝居・仕草が素晴らしいので、これはこれで良い機会でした。こういうサプライズ(ハプニング?)があるのも落語(会)の面白さのひとつですね。