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松本で2023年版『笑の大学』を観る。

三谷幸喜『笑の大学』松本公演(2023年3月)

三谷幸喜作・演出『笑の大学』松本公演を観てきました(2023年3月19日13時30分開演、まつもと市民芸術館メインホール)。

昭和15年の東京、警視庁検閲係・向坂睦男と劇団「笑の大学」座付作家・椿一の会話劇。
脚本に無体な難癖をつけ喜劇の上演を中止させようとする向坂と、それを巧みに笑いに置き換える椿。二人はいつしか立場を越えて脚本の書き直しに夢中になっていくが……。

最大の見せ場は、向坂が椿に最後の要求をする場面。ここ以降、初演から大幅に書き換えられています。青山円形劇場での1996年の初演をライブで観た身としては、今回の改編は複雑な気分。なんというか、かなり感傷的な演出がなされているのです。

さらに、音楽で雰囲気を付けたり、かぶりものの寸劇で客席を盛り上げたり、過剰なアレンジが加えられています。

比較すること自体、野暮なのは百も承知ながら、もう少しオリジナルを尊重してほしかった。と思いつつ、三谷さんは役者への当て書きがスタイル。初演の引き算の演出は西村雅彦&近藤芳正という、二人の役者への当て書きゆえ……。そう思うと、今回の内野聖陽&瀬戸康史キャスティングでの演出は納得できるものもあります。

椿を演じる瀬戸さんは上手で、台詞の言い淀みが一切なく、舞台度胸も相当。受けて立つ内野さんも堂々たる検閲官ぶり。堅物の男が椿の喜劇台本によって新しい世界を見つけていく。今回の演出は、その喜びにフォーカスしていたし、内野さんはそれに見事に応えていました。

細かく改変が加えられていますが、「喜劇に臨む作家の決意表明」は柱。この意地と矜持は何度見ても心打たれます。

本作はPARCO劇場開場50周年記念シリーズのひとつ。東京在住の身でありながら、肝心のPARCO劇場公演に行けず(仕事の都合で泣く泣く手放したのだ)、なんとか松本でリベンジできました。

初めてホール客席に入った「まつもと市民芸術館」主ホールの立派さに感嘆。客席も満員で、観客の見方も楽しみ方も最高だし、県民性&土地柄が素晴らしいなぁ。

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

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