東宝ミュージカル『エリザベート』マイ千秋楽、観てきました(帝国劇場、2019年8月24日マチネ)。このブログで書きましたが、今回のエリザは全公演でたったの2回しか観ていません。前回の観劇記はこちら。
トート役で城田優さんが出演しないことで、自分でもびっくりするくらい冷静に観られているんですね。今回トート役で登場した古川雄大さんは、歌唱で大きな飛躍を遂げています。あとはいかに自分のオリジナルのカラーを出すかだと思います。
トート役ダブルキャストの井上芳雄さんは不動のミュージカルスターですから、役へのアプローチで異論があろうと「おれがトートだ」といえば周りを説き伏せられるだけのキャリアと実力があります。だから古川さんは、それとはまったく異なるスタンスで舞台に臨めばいいと思います。歌唱の特徴とか、演技とかで。それは次の公演以降のお楽しみですね。
『エリザベート』は観るたびに発見がある作品のひとつ。今回の発見は涼風真世さんの皇太后ゾフィーです。香寿たつきさんとのダブルキャストで、この2人を今までほぼ半々の割合で観てきました。ともに歌唱力抜群の宝塚トップスター出身で、当たり前ですが声質が異なることで、同じ役でもまるで違う皇太后になります。
完全にイメージで言いますが、香寿さんの歌唱は木管楽器を感じさせるのに対し、涼風さんのそれは金管楽器なんですよね。
好き嫌いでも、ましてや良い悪いではなく、異なる声質の個性です。丸みを柔らかみと感じさせる香寿さんに対し、金管楽器で鋭角的なソロを展開しているような涼風さん。それに涼風さんはその若さゆえ、鬼姑というよりは、美人女傑って感じでそこがまた良い。
なによりもタフですよね。3カ月にわたる長丁場の公演で、調子の良し悪しが出ない。いや出ているのかもしれないけど、それを感じさせないわけですからリカバリー力もあるってこと。
タフと言えば。みんな大好きお花さん=花總まりさん。ピークを千秋楽に持ってきているんじゃないかというくらい尻上がり。観るたびに良くなっています。1幕のラスト鏡の間の「見返り美人」は、神々しいまでの美しさ。もうね、肖像画の再現です。
次回は3年後、2022年くらいでしょうか。花總さんの再登板があると信じて、楽しみに待ちましょう。