キングスバリーといえば、モルト好きならおなじみ、ジャパンインポートシステム出資のインデペンデントボトラー。そこが手がけるジン、期待以上です。スタンダードとシングルカスクの2種類を飲み比べてみました。
キングスバリー ビクトリアンバット・ジン(Kingsbury VICTORIAN VAT GIN)47%
- 香り…ごま塩、キウイ主体のトライフルロール、シュークリーム、カルダモン。奥にサンマのワタ。
- 味…軽いが味わいしっかり。胡椒、塩バニラ、クロテッドクリーム。
- 総評…総じて控えめだが、その中にキラリと光るもの多数。
98点
結論から言えば、超お気に入り。値段手ごろ(希望小売価格税抜3,800円)で口当たりよく、適度にスパイスが効いてる。こういうのがいいんだよ、こういうのが!
正直ジンで明確な優劣は感じないのだけど、ビクトリアンバットには高得点を差し上げたい。これを上回るものを造ってほしい願望を込めて、あえて100点満点は見送りです。
ジャパンインポートシステムのサイトによると、ジンが隆盛した19世紀当時の保存方法を復活させ、スコッチの樽で12〜26週もの間熟成させるそう。
最大の特徴は通常のジンの2倍以上ものジュニパーを使用していること。使用ボタニカルは主に欧州産で、クロアチアかハンガリー産のジュニパーベリー以外は非公開。ううむ、知りたい。原点にとことん立ち返るコンセプトや製造法からは旺盛なチャレンジ精神を垣間見ます。カテゴリではロンドンドライジンですが、クラフトチックだな、と。
飲み方いろいろでOK。個人的にはソーダ割りがしっくり。トニックは甘みが先立って疲れが癒やされます。ソニックは端的に言って三ツ矢サイダー。ロックでスパイス香味が立ち、ストレートでは複雑なコンテンツを身近に感じられます。
ショートカクテルの材料でも面白そう! これでジンフィズやギムレットなんか作ったら、砂糖は要らんかもしれん(んなわけない)。
とにかく素晴らしいのでぜひ飲んで。
キングスバリー ウ゛ィクトリアンウ゛ァット ジン 47/700 [3914] [正規輸入][箱なし](103914) 価格:3,580円 |
ビクトリアンバット シングルカスク カスクストレングス(Kingsbury VICTORIAN VAT GIN SINGLE CASK) 59.6%
- 香り…グレープフルーツ、サイプレス、レモングラス。後半に少しのカルメ焼き。
- 味…樽由来(?)の甘み。メイプルシロップ、レモンやオレンジ果皮、ディル、ナツメグなど。
- 総評…アルコール感がなく、心地よい甘みが終始長く続く。食前酒として。
90点
飲み比べると同じラインであることを感じされるものの、違いが一目瞭然。度数の高さゆえのキツさは皆無(自分比)ですが、くっきりとコンテンツが表れているのはこちら。写真でうっすらと樽熟の色が付いているのが伝わるかな。
スタンダードと比べて、シングルカスクのほうはジュニパーのわかりやすいキャラが表層に浮かんできます。とはいえ「ガツンとくる」のではなく、ライトな飲み口。飲み方は好き好きで当然OKですが、これは「ストレートでじっくりと飲むためのジン」とあえて言い切ります。
かつてはビクトリアンバットのシングルカスクはマッカラン、ローズバンク、ハイランドパークなどの樽で熟成した変わり種があったそうです。ネットでは買えますし、今まだ飲めるBARもあるかも。
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ビクトリアンバットは最近超絶お気に入りで、実のところスタンダードのほうはボトルキープ2周目を先日終えたばかり。それくらい飲みやすくて、安価で、美味しい。
唯一の疑問は「どこで蒸留しているのか」。キングスバリー社は蒸留所を自社所有していません。同社はスコットランドのアバディーンを拠点としていますので、その周辺すなわちスペイサイドのどこかで蒸留しているのでしょうかね。我ながら安直な妄想です。
とにもかくにも個人的にジンの指標となる銘柄になったことは確かです。
@カドヤ黒門町スタンド