展示会『「東洋一」の夢 帝国図書館展』(2023年3月28日~同年7月16日/国立国会図書館国際子ども図書館)を観てきました。都の歴史的建造物指定のレンガ棟を中心に、帝国図書館時代の建築意匠や、国際子ども図書館として生まれ変わるまでの過程を、貴重な史料や模型、写真とともに紹介するもの。
ここは図書館としての蔵書もさることながら、建物が素晴らしい。クラシック建築好きなら一度は足を運ぶべきところです。
国際子ども図書館は、1906年(明治39年)開館の帝国図書館をリノベーションし、2000年に開館。創建当初、帝国図書館は「東洋一」を目指して設計され、戦争の影響で当初の計画通りに完成しなかったものの、人々に「上野の図書館」として親しまれてきたそう。ルネサンス様式の豪奢な洋風外装、構造だけでなく、避雷針やガラス窓、控えめなシャンデリア、ドアノブなど細部に至るまで粋を尽くしているのがわかります。
展示会では建物の趣向だけでなく、芥川龍之介、夏目漱石、宮沢賢治、江戸川乱歩、田山花袋、宮本百合子などの文学者たちが自作で触れたり、通ったりしたエピソードも紹介されており、帝国の名を冠していただけのことはあるなと妙に納得しました。
ぜひ立ち寄ってほしい図書室・小展示室
ひとしきり展示会を観た後は、2F「調べものの部屋」の書架を見て歩きながら、いろんな書籍を短時間ずつ立ち読み(至福!)。さらに1F「子どものへや」で懐かしい児童書に歓喜。この二つの展示室は時間を忘れる危険がありますが、大人こそぜひ足を踏み入れてほしい。自分が小学生のころに読書のきっかけを作ってくれた、乱歩の「少年探偵団シリーズ」(ポプラ社)には、おぉーっとなりました。海外文学の児童向け翻訳版もあって、個人的にはここから書物にエントリーするのでも十分だな、と。
それにしても、お子さん連れの家族連れが多いこと。しかも子どもさんが静かに本を読んでいる。こんなところに子どもを連れてくるなんて、センス良すぎ。情操教育の志の高い親御さんを褒めるしかないですね。ただただ感心し、なんだか明るい気持ちになりました。国際子ども図書館、もっと頻度高めて訪ねよう。