英国の国立美術館テートから「光」をテーマにした約120点を展示する『テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ』(2023年7月12日〜10月2日/国立新美術館、大阪中之島美術館に巡回あり)を観てきました。
このテート美術館展、当日券で入ったのですが、窓口でびっくり。観覧料(一般)が2,200円もする。美術展にしてはやや高額。まぁ、中身というか展示作品で「観にきた甲斐あった」と価値を感じられればいいんだけどね。
「テート美術館展」の評価ポイント
1. ジャンルが幅広い:油彩、水彩から写真、映像、オブジェまで幅広いジャンルの作品が展示されています。展示のフィナーレを飾るオラファー・エリアソン「星くずの素粒子」(アイキャッチ写真)は直径170センチメートルものステンレススチール作品で、これをはじめ、運搬に相当なコストがかかったであろうことは想像に難くなく、この観覧料も仕方ないでしょうね。
2. 展示作品の多様性:ターナー、コンスタブル、ハマスホイ、草間彌生、カンディンスキー、リヒターなど多様な作品が一堂に。テーマ性が幅広い分、あなた好みの作品が1点は見つかるはず。
3. ドラマチックな作品に出会える:特に印象に残ったのは、ジョン・マーティン「ポンペイとヘルクラネウムの破壊」。ベスヴィオ火山の溶岩に飲まれるポンペイを描いたもので、闇の奥の「光」が奥行きを与えています。まるで洞窟の口のような溶岩の渦は、見る角度によって表情が変わります。正面、右、左と、いろんな角度で作品を見てください。
行ってみる価値はあるか
確かに入場料2200円はお高いですが、上記のような要素を考慮すると価値は十分にあると感じました。少しでも美術に興味がある方、多くの芸術ジャンルに触れたい方は満足度が高いのでは。
ただね、料金以上に気になったのが写真撮影に夢中になっている客。個人的には「写真撮影自由」というのは、やはり抵抗があるのですよ。なぜって、写真撮影に夢中になる観覧客が、作品の前を独占しちゃうから。あなたはいったい何しに来たの。だまって作品とじっくり向き合うことはできないの?撮るなとは言わないけど(ぼくも撮影可の作品についてはブログネタに撮影するけど、せいぜい2〜3点)、せめて他の観覧客の導線を邪魔しないでいただきたい。
というわけで、展覧会の内容はケチのつけようがないけど、静かに作品と向き合いたい人には勧められんです。