さながら和製アウトサイダーアートが集ったといえる展覧会に行ってきました。「ポコラート全国公募展Vol.7」という美術展です。外神田のイベントスペース、アーツ千代田3331で2017年10月7日まで行われています。
ポコラートとはPlace of“Core+Relation ART”の頭文字を取った造語で、「障害の有無にかかわらず人々が出会い、相互に影響し合う場」という意味だそう。開催地のアーツ千代田3331がオープンした当初から行われており、すでに開催7回目なのですね。
北海道から沖縄まで、応募総数1,383点から入選した128点が展示されています。特に期待もせず500円の入場料を支払って会場に入ったのですが……。いやぁびっくりしました。展示された絵画やオブジェは、山下清か、草間彌生か、ヘンリー・ダーガーの再来かと思しきアバンギャルドな作品ばかり。
どうアバンギャルドか。ぼくが気に入った作品のうちのひとつ、畠山史織さんの「タイトルなし」。
AKB48のメンバーになった自分が西川貴教と結婚し、どういう日常を送っているか。びっしりと想像のストーリーが書き込まれています。有名になって「笑っていいとも!」に出ている自分、母親になった自分、新聞のテレビ欄に書かれた自分。
こちらは松井佳太さんの「紙コップ自販機」という作品。どうです、すごく上手じゃないですか? 精緻に書き起こしてあるだけでなく、おそろしいほどの再現力です。あまりにも丁寧で繊細な鉛筆画にしばし魅入ってしまいました。
着想に驚かされたのは、加藤典子さんの「生着る」(上)。レシートを生地にしたシャツの紙工作です。四元雄飛さんの「鯛」(下)は精緻なグラフィックアートですね。鮮やかなカラーリングに目を奪われます。
こちらは東美香さんの「秘密のノート」という作品。なるほど、確かにこれは第三者には判読できませんね。本人にしか分からない秘密、何を書いたものなのかな。
他にもまだまだ魅かれた作品が。写真撮影自由、SNSシェア歓迎とのことで、気がつけばiPhoneで撮りまくってました。入場者は自分が気に入った作品10点まで投票できます。ぼくですか? もちろん10作品書いて投票箱に入れてきました。
ひとつ気づいたのは、障害のある人の作品とそうでない人の作品の区別がつかなかったこと。主催者はその垣根を取り払うのがねらいかもしれませんが、アーティストがどのような障害があるのか、情報としてあってもいいと思うのです。
「その障害があったから、これほどの独創的なものが作れたのかしれない」と観る側にも想像させてほしい。もちろん出品者に意思表示の可否を聞いたうえで。
ちなみに2018年の開催が既に決まっており、2017年10月1日から応募できます。これは素晴らしい企画です。毎年の楽しみがひとつ増えました。