池袋演芸場の2023年10月上席夜の部、三遊亭天どん主任公演七日目に行ってきました。
結論めっちゃ笑ったのですが、くたびれました。新作落語家の熱量とイマジネーションにエネルギーを吸い取られた感があります。
金明竹 さく平
DJ寿限無 ごはんつぶ
徳ちゃん 㐂三郎
ウクレレ漫談 ウクレレえいじ
アニバーサリー 花いち
出目金 志ん五
紙切り 林家正楽
つばさ 彦いち
ぐつぐつ 小ゑん
仲入り
花魁の野望 わん丈
新聞記事 一之輔
太神楽曲芸 翁家社中
時をかけるおっさん 天どん
とにかく疲れた客席のワタシ
理由を箇条書きにすると
慣れない池袋演芸場の観覧
これらが自分の胃の不調もあって、疲れました。ただ客席で聴いているだけなのに。
池袋演芸場は客席数が93と少なく、しかも座席間前後左右が狭い。「客が入らない寄席」として、まくらのネタにする落語家もいますが、この日も満席。池袋のキャパくらいは満席にできないと、他の寄席でトリを取るどころじゃないかもね。
9割方が新作落語家
㐂三郎さんと一之輔さんを除く他の人は、色物さんと新作落語家(といっても古典もできる)。火付け役は古典の改(怪?)作「DJ寿限無」の三遊亭ごはんつぶさん。
長い名前をどうやって覚えやすくするかをボイルレコーダーやターンテーブル、ボイパまで駆使してアレンジするという、二段三段オチの仕掛け。
ここから自らを「古典枠」と称した柳家㐂三郎さんを挟んで、一気に自由な空気に。
噺家の背中に翼が付いている世界の噺、林家彦いちさんの「つばさ」と、三遊亭天どんさんの「時をかけるおっさん」は、どこかSFチックで似た趣。「時をかける〜」は寝ているうちにタイムスリップを体験したオタクが、ファンである地下アイドルの危機を救おうとする話で、サゲのドタバタは可笑しくも一抹の寂寥を感じなくもないとのでした。
後半、三遊亭わん丈さんの「花魁の野望」は町奉行と元花魁の夫婦の噺。夫に無理を言ってお白洲に出た妻が、町人のトラブルに奉行顔負けの名裁きをしていく。羽織を二の腕まで下ろし、巧みに色っぽいおかみさんの仕草を演出するわん丈さん、その発想にニヤリ。
短い出番で場をさらう一之輔さん
次の春風亭一之輔さんは定番の「新聞記事」ですが、こんなに面白い演目だったのかと気づかせるスピード感。合間に伏線を散りばめて後半で回収していく鮮やかさもたまらない。約10分、旋風を巻き起こすかの如く高座を独占した一之輔さんだったのでした。
まとめ
帰路、脳みその整理が必要だなと池袋演芸場近くの居酒屋、魚金で一杯引っかけたのですが、クールダウンどころか疲れが一気に噴出。
新作落語家のボルテージは想像以上。この夜の部は重鎮の噺家が出演しておらず、それもまた愉しく自由な空気に拍車をかけたのかなぁ、と。
ふだん落語を聴くのは上野鈴本がホームの身としては、新作パレードもたまにはいいですね、たまには。