上野鈴本演芸場の12月下席昼の部は、恒例の年末特別企画興行「一発逆転 千両富くじ! 暮れの鈴本富久まつり」。
隅田川馬石さんがトリを務める5日目(12月25日)に行ってきました。
(途中から)
長屋の算術 白酒
漫才 ロケット団
子ほめ 一 朝
ぐつぐつ 小ゑん
仲入り
粋曲 小春
お菊の皿 燕路
紙切り 二楽
富久 馬石
馬石さんの演じる幇間の久蔵は、仕草の巧緻と走るシーンの可笑しくもスペクタクル感が炸裂。
酒でしくじってしまった旦那の家の方角で火事、久蔵は長屋のある浅草三間町から新橋久保町まで走って走って、着いた旦那宅はどうやら無事。
ここで駆けつければまた置いてくれるはず。
そんな下心を隠さない久蔵さんと、トボけた風情の馬石さんは相性が合うんだよな。
今度は浅草で火事があり、駆けつけようとする久蔵に、何かあったらここに来い、という旦那。
旦那の度量の広さは言うまでもなく、久蔵の人徳ってやつもなかなかです。
本当に強い人、生き残る人って、結局こういう人なんだろね。
この噺は、イヤなヤツが一切出てこないし、ストーリーとして奈落に落としてから一気に上げる大団円は溜飲を下げてくれます。
個人的に2022年は波乱の年でしたので、痛快な筋立てにグッと来ました。
白酒さんの「長屋の算術」は、趣向をして店子の格を上げてやろうとする大家と、おバカ極まれりの店子連中の噛み合わないやり取りが愉快。
寄席でこうして初めて聴く噺に巡り会えると、得した気分になります。
仲入り後食いつきの柳家小春さんを初めて拝見した後、紙切りでは客席にいた女子児童さんから「お琴!」という難易度の高い注文が。
けっこう時間をかけて作られた二楽さん、「進めるほど事態が悪化していく状態が今」とぼやきつつも、最後はバッチリの仕上げ。
受け取った子どもさんも満足そうで、これこそがライブだよね。