春風亭一之輔さんがネタおろし&ネタ出しで5日間連続で臨む「落語一之輔五夜」(よみうり大手町ホール)。千秋楽となる第五夜(10月27日)に行ってきました。
第二夜の「付き馬」から少し空いて、一之輔さんの生ホール落語です。
第五夜「中村仲蔵」ほか
この日も一之輔さんは3演目。仲入り前に「代脈」と「粗忽の釘」を。前者はとぼけたインターンの往診の話、後者は大工が越した先の長屋で騒動を起こす話。いずれもおっちょこちょいが主人公の、軽妙な噺です。
一之輔さんの真打昇進直前の公演を収録したCDで「粗忽の釘」を披露していますが、ほとんどその当時と変わらずにやっています。一之輔さんらしい、デフォルメが施されたおっちょこちょいです。ぜひ聴いてみてください。
打って変わって、後半は「中村仲蔵」。プロの役作りで評判を勝ち取った名役者の物語で、師匠・一朝さん譲り(?)の芝居噺に期待が高まります。
ちょっと一之輔さんのキャラクターではない気もしましたが、始まってみるとそれはそれ。完成された本物の芝居を観せられているみたいでした。これを全5夜ラストの大一番に持ってくるのは、自信の表れだったのでしょう。
ちょっとは穴があっても良さそうなものですが、そんな軽口をたたくのも失礼なくらいパーフェクト。それでいて、ちゃんと一之輔流の仲蔵になっている。ほとんど休みがない中で、いつ稽古をしているのか。ほんとうに不思議です。
それと、一之輔さんは「ほんとうのサゲ」の手前でサゲているのも良い。今や圓丈さんのみならず、多くの噺家さんが受けないところは切るショートカット手法ですが、それを自然にやるのは案外難しい。
さりげなく、ナチュラルに、スピード感をもってさらっとやる。現代的なやり口、一之輔さんや桃月庵白酒さんは最高ですね。
来年2019年は”七夜”になる、この一之輔さんの独演会。カーテンコール(幕が閉じてまた開いたのですよ)で、どのようにするか明言はしませんでした。
無理にネタおろしすることはないように思いますが、「いい機会なんでね、どうしよっかな」と考えている様子。
どうあれ、息まず、大変さを出さず、さらっとやってほしいですね。