ずば抜けた知識に、ズバリ切り込む論調。成毛眞さんは現代を象徴する知の巨人です。その成毛さんが2008年に書き下ろした本がこちら。
「本は10冊同時に読め!」(成毛眞著、三笠書房知的生きかた文庫、税抜533円)
職場のロッカーから出てきました。ああ、ここにも積ん読状態が。ブックオフの値札が貼られてあって、衝動買いの形跡ありです。
こちらも啓発本の一種でしょうけど、のっけからその全否定。ノウハウ本や成功本を捨てなさい、と。
成毛さんは庶民からの脱出法として、みんなと違う行動を喚起し、その方法のひとつに、並列読書を勧めます。
「読書が好きでない人ほど、読むのが遅く、一冊一冊を丁寧に読む」。ぎゃー、まさにおれ。この罠から抜け出そうと、今もがいているところなのですよ。
成毛さんの実践する「超並列読書」とは
- 主体的な読書は本の選択の話だけではない。どこを読み飛ばし、どこで読むのをやめるか。反対にどこを精読するか。
- 生活感にまみれた情報、教科書で覚えた知識は排除し、ムダだと思っていた情報を詰め込みなおせ。
- ニッチタイムの活用。常に読書中の本のどれかがクライマックスを迎えているような流れになれば読み飽きない。本も多ジャンルに。屋久島について書かれた本と三谷幸喜のエッセイというように、なるだけぶっ飛んでいるほうがいい。
「想像力の欠けた人間と付き合うな」は極論だが当たっていると思う。車に幼児を置いたままパチンコに行く人、電車の中で化粧する人のことね。全面的に同意です。卑近な例だけど、劇場でケータイを鳴らすバカとか、自分のことしか頭にない上司とか、ぼくの周りで見かける方々が同類。人間性の問題ですな。
第四章の終わり「読書メモは取らない」に笑いました。まさにブログネタともすべく読みながら今これもメモ付けしているのですが、思いきり否定されてしまった。「一度に複数まとめて読めと言っているのに、わけて感想を書いても意味ない」と。ビル・ゲイツもメモは取らない、囲碁や将棋の名人は定石を覚えるがすぐに忘れてしまうとの記述、うなってしまいました。
大事なのは吸収する姿勢、か。この言説は以前なら素直にうなずけたけど、今はアウトプットすることの大事さを体感することがあり、どーしたものかなと考えてしまいます。
感想以前に思ったのは、成毛さんが逆三角形型の文章の達人ということです。結論を先出しし、重要なことや詳述を後に書く。ぼくの場合はお酒関連の記述が特に課題ですが…。素材によって書き分けてもいいのかな。脳みそがグルグルしてます。