7月24日は河童忌(芥川龍之介の忌日)ということで、田端文士村記念館へ。
企画展『友情から生まれたもの 文士村の青春アンサンブル』(2024年6月8日~2024年9月21日/入場無料) を観てきました。
今年は芥川龍之介が田端に転入してから110年だそうで、それを企画展の冠にしているのには北区の愛を感じます。
芥川を扇の要とする友情
本展では芥川と室生犀星、菊池寛、萩原朔太郎など田端文士の友情を切り口に、交流から生まれた雑誌『新思潮』『感情』『文藝春秋』『驢馬』や初版本、直筆原稿や書簡などを紹介しています。
企画展示スペースでは、室生犀星と萩原朔太郎の友情、市川房枝と平塚らいてうの女性解放運動の共闘、そして室生、菊池寛、小穴隆一らと芥川との交流の深さを垣間見る書簡や書画などを展示。
なかでも芥川が手紙に書いた書画(というかイラスト)にはユーモアもあって、洒落を解する人だったのだなという意外な一面が。
室生と萩原の友情の深さを示すエピソードとして、萩原が講演した際に聴衆のひとりが文句をつけ、会場で参加していた室生がこれをケンカと勘違いし、椅子を振り回して萩原を守ろうとしたエピソード(中央亭騒動)は室生の真面目さを裏づけるもので印象的です。
河童忌にちなんだ展示
芥川中心の展示室では、河童忌にちなんで芥川の遺書を紹介。3人の息子たちに宛てた書、最初に見つけるであろう妻・文(ふみ)に宛てた書など読んでいると、死を目前にした人間の覚悟、諦念、超然というものに目を向けざるを得ません。
妻には「生かす工夫絶対に無用」といい、子どもたちには 「若しこの人生の戦ひに破れし時には汝等の父の如く自殺せよ」と記して訣別する。自分に自殺する勇気があったとしても、遺書にこんなことはしたためられませんね。
最期まで己を貫く芥川こそ本物の文豪であります。