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久坂葉子『幾度目かの最期』:ある天才作家がさらけ出した、鉛色の心模様。

久坂葉子『幾度目かの最期』

表題作を書き上げたその日=1952年12月31日に阪急電車に身を投げた久坂葉子(1931〜1952)。
その遺書のような作品をはじめ7作を精選した小説です。

なぜ手にしたのか? 読後感は?

神戸文学館を訪ねた際、縁の作家として久坂葉子が紹介されていて、それがきっかけで知ったと記憶しています。

曽祖父は川崎重工の創業者で、伯父は男爵という名門に生まれ、幼少時からピアノ、詩、俳句、南画に長けていた久坂。
18歳のときに書いた作品で芥川賞候補になるという、絵に描いたような天才肌。
にもかかわらず、その作品の数々はとても陰影に満ちています。
心の奥底に澱んだ重い気持ち、倦怠感を抉り出すような筆致なのです、どれも。

表題作は友人の母親に宛てた手紙で、上手くいかない恋愛にのめり込んで行く様子が鬼気迫るように書かれています。
恋愛相手として出てくる男は実在した人物ですが、苗字ではなく「緑の島」「鉄路のほとり」「青白き大佐」と置き換える情緒と詩的センスに唸ります。

もうね、死への渇望と焦燥の心模様、強烈に惹きつけられました。
年末年始の課題図書にしていたのですが、気力あるときに読めてよかった。
これ、落ち込んでいるときに読むのは危険かも。
死が魅力的に見えるんだもん。

読んで得たこと

  • 21歳で自殺した天才作家の才能に衝撃
  • 死が怖いのではなく、蠱惑的にすら見える
  • 表題作だけでなく、短編や劇作も読ませる

まとめ

「あげたいものは、平手打ちです」

なんて作品で言われた男は、彼女が電車に身を投げた後、立ち尽くすしかなかったのでは。

巻末の解説に久坂さんの弾けるような笑顔で写っている写真が載っていて、これがまた美人なんですよ。
どんなに恵まれた境遇に見えても、その人自身の心の影までは表面からは分かりようもない。

人の儚さと深層心理を考えさせられる一冊でもありました。

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