アフィリエイト広告を利用しています。

森鴎外記念館『文学とビール』展。

千駄木の森鷗外記念館

文京区立森鴎外記念館で開催中のコレクション展『文学とビール 鷗外と味わう麦酒の話』(〜2019年10月6日)に行ってきました。文豪とお酒は切っても切れないというか、よく引き合いに出される関係性がありますよね。洋の東西を問わず、文人の酒豪(酒乱?)伝説は語り継がれるものです。

ウイスキーや焼酎などの蒸留酒、あるいはワインや日本酒などの醸造酒の中でも「ビール」というとなんだか和むというか、かわいらしさすら感じます。あまつさえ、結びつきが文豪とあらばなおさらです。酒を煽りながら激論を戦わせる。文豪に対し、そんなステロタイプの絵面を勝手に想像しているものですから。

展示は「鴎外とビール」「文学とビール」の2部構成。森鴎外のビール体験を紹介しつつ、後半はビールの描写のある文芸作品を、日本のビール普及の歴史とともにたどるものです。

鴎外は日本ではビールが貴重だった時代に、陸軍の軍医としてドイツに留学し、本場のビールを味わっています。鴎外がドイツに留学したのは1884年(明治17年)〜1888年(明治21年)。日本でビールが広まるのは明治40年代以降だったらしく、それよりも20年以上も前に鴎外は当地でオクトーバーフェスト(ビール祭り)や醸造所見学し、自らを実験台に「ビールの利尿作用」まで研究していたというのです。

さすがの鷗外も3杯(1.5リットル)飲むのがやっとだったようで、宴会で12リットルも大酒をくらう人々に「其量驚く可し」と『独逸日記』にしたためています。

鴎外が留学したころ、日本でもキリンや恵比寿などの国産ビールが発売されますが、当時は14銭もする高級品(当時かけそば1杯が1銭くらい)。展示ではそこから徐々に市民に普及していくまでが、名作に登場するビールの記述とともに紹介されています。

「見たことのないもので、一寸見たいと思ふ物」として、『病牀六尺』でビヤホールを挙げた正岡子規。吾輩こと主人公の猫にビールを飲ませた夏目漱石。銀座のBAR「ルパン」でビールをよく飲んでいたという太宰治。飛んで1979年、プール1杯分ばかりのビールを飲み干したという「僕」が主人公の村上春樹『風の歌を聴け』。ことほどさように、あまたの作品にビールが登場しているんですね。

帰り道、遅いランチに立ち寄った店でビールをグイッとやったのは言うまでもありません。お酒という文化の一端を垣間見て往時をしのぶ展覧会、上戸も下戸も関係なく楽しめるはずです。

「文学とビール」森鴎外記念館コレクション展

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|SMWS会員|訪問したBAR国内外合わせて200軒超|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|健全な酒活|ブログは不定期更新2,000記事超(2022年11月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性