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【ネタバレあり】「舞台あらし」が藤原竜也に憑依した『中村仲蔵』。

舞台『中村仲蔵』(2024年2月)

『中村仲蔵 ~歌舞伎王国 下剋上異聞~』観劇(2024年2月24日17時30分、東京建物Brillia HALL)。これは拾い物の芝居でした。素晴らしかった。

あらすじ

江戸時代中期。歌舞伎史に名を轟かせる伝説の役者・初代中村仲蔵(藤原竜也)の出世物語。
打擲も厭わない養母・志賀山お俊(尾上紫)の稽古を経て江戸に出てきた仲蔵。踊りの天賦の才も輪をかけて他の稲荷町役者(大部屋俳優)との違いを見せる仲蔵。だが、代々看板を受け継ぐ名跡とヒエラルキーを前に、絶望に陥る。

役者としての大成を夢見る仲蔵は、周囲から苛烈ないじめに遭い、ついには大川に身投げをはかる。それを助けたのは旗本の子、酒井新左衛門(市原隼人)だった。

命を救われ覚悟を決めた仲蔵は、かねて目をかけてくれた四代目市川團十郎(高嶋政宏)の後押しもあり、ついに名題役者に上り詰める。そんな仲蔵だが『仮名手本忠臣蔵』の弁当幕と揶揄される五段目、端役の斧定九郎の役が当てがわれてしまい……。

一幕と二幕のコントラスト

仲蔵の下積み時代がストーリーの一幕は、かなり過酷な展開で観ていてつらくなるほど。
衆道の犠牲になるだけでなく、ドリームキラーな師匠伝九郎(廣田高志)との確執、権謀術数渦巻く楽屋裏に巻き込まれる仲蔵が手加減なく描かれます。

自殺未遂までした仲蔵のその後を描く二幕。まっすぐに芸道に突き進む仲蔵が痛快。
座付き作家の金井三笑(今井朋彦)の企みで、『仮名手本忠臣蔵』のただでさえ見せ場の少ない五段目の端役、おまけに台詞を削られる嫌がらせにもめげず、独自の役作りで観客をアッと驚かせる趣向。

個人的に落語を聴くので、古典落語でも有名な『中村仲蔵』の芝居のビジュアルが迫ってくるのが、非常に楽しく、また藤原竜也さんの演技が圧巻でした。

仲蔵のスピリットに通ずる藤原竜也の役者っぷり

劇中、中村仲蔵が天才としてだけでなく、努力家でアイデアマンで華もあるという稀代のスターとして描かれているのがいい。

美内すずえ先生の『ガラスの仮面』ヒロイン、北島マヤのような「舞台あらし」なんですよね。それがまさに藤原竜也という人に通ずるものがあります。

仲蔵を取り立て、自分を超えていくその姿を眩しく見守る團十郎、奈落下に潜む芝居の神(池田成志がうまい!)、斧定九郎の役作りに決定的なインスピレーションを与える酒井新左衛門を演じた市原隼人も見事(三味線も頑張っている)。

でも実は今井朋彦さんのクセモノっぷりが好きで、善人として出てきた一幕から二幕で豹変するキャラクターも堪りません。この人はそれに滑舌が断然!

まとめ

正直、全然期待してなかったんですが、脱帽です。
いい意味でやられましたねぇ。
歌舞伎の舞台裏楽屋を模した3階建ての美術も工夫満点。むかし蜷川幸雄が演出した『ハムレット』(真田広之、松たか子主演)もこんなセットでした。

源孝志さんの微に入り細を穿つ脚本、藤原竜也の魅力を最大限に生かしつつ、陰惨な一幕と痛快な二幕で緩急をつけた蓬莱竜太さんの演出は特筆。

三番叟を踊りながらの大団円も心打たれました。機会あればもう一度見たい。
再演を望みたい傑作です。

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|SMWS会員|訪問したBAR国内外合わせて200軒超|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|健全な酒活|ブログは不定期更新2,000記事超(2022年11月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性