結論から言えば、素晴らしい出来でした。
作品本来の高いクオリティだけでなく、今回の公演自体そのものが、です。
幸運にも今回は3回、いずれも花總まりさんのタイトルロールで観劇。
うち2回は花總まりさんのFC貸切公演でした。
コロナ禍中の公演貫徹に向けて尽力してくれている、スタッフ&キャストには感謝しかありません。
今回、感じたことを簡潔に。
花總まり”初の休演”
宝塚初舞台から13年にわたるトップ娘役期間まで無休、退団後の空白期間を経て復帰した2011年以降も皆勤賞。
今回でエリザはファイナルとの説もあるなかで、年末に飛び込んできた「体調不良により」の報せは衝撃でした。
おそらく、花總まり史上初となる休演では。
舞台にかけるとは言うは易しで、彼女こそそれを全身全霊で体現している俳優です。
悔しく、悲しい思いはいかばかりか、察するに余りあります。
芝居全体のテンションの高さ
感じましたね、ひしひしと。
前回の全公演中止という鬱憤を晴らすかのごとく、キャストの熱量が違いました。
具体的にと言われても、ライブで観れば分かるとしか答えられないけど。
ルキーニ役の黒羽麻璃央さんに瞠目
噂の黒羽さんを初めて観ましたが、完全に自分のモノにしていて驚きました。
正直、「黒羽? なんぼのもんじゃい」とお手並み拝見でしたが、冒頭のシーンからクギ付け。
完璧すぎて鼻についたほど。
単なるイケメンではありませんでしたね。
山崎育三郎さんのトートは華がありすぎる
これは既定路線でしたが、正直、ルキーニ役のほうが似合っています。
歌唱の実力と陽キャゆえ、それがかえってトートっぽくない皮肉。
黄泉の帝王というよりも、ロックのボーカリストなのです。
とはいえ、やはり魅せてくれることは確か。
華があるトートというのも、たまには良いかもね。
アプローチの違いでかくも芝居の色って変わるのだなぁ。
そのほか、細かい点にも目が行きます。
どうしたって何回を観ているので。
トートダンサーたちの入れ替えとか、エルマーがトートと再会して握手するカフェシーンでの細かい演技(トートの手の冷たさに、思わず自分の手を見て首を傾げてしまう。演じるのは佐々木崇さん)とか。
こうした発見が毎回ある幸せです。
名古屋御園座、梅田芸術劇場、ラストは博多座。
なんとか完遂して、大千穐楽を迎えてほしいと願わずにいられません。