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長野県立美術館「トークフリーデー」の試みに思うこと。

長野県立美術館「トークフリーデー」

大型連休の入口、長野県立美術館を訪ねたところ「トークフリーデー」に当たる日でした。
これは静粛に作品鑑賞するのがマナーとされる美術館の展示室において、声のトーンを気にすることなく話していいよ、という取り組みです。

上のアイキャッチ写真の説明には「試験的」とあるので、まだ正式決定ではないみたいですが、ひじょうに良いアイデア。粋ですな。
ぼくの住む東京の美術館は、(美術館にもよるけど)けっこうワサワサしていて、土日はむしろ静かなほうが少ないくらい。
最近じゃ写真撮影OKな企画展もあって、落ち着いて鑑賞できたもんじゃない。

その点、さすが教育県の長野の美術館だけある。
美術館は「静かに過ごす場所」という前提が来訪者に浸透していなければ成り立たないですから、この企画は。

ただ面白いことに、ぼくが足を運んだ時間に限って言えば、普通に話している人はいませんでした。
この日は混雑していなかったせいか、話し声が目立ってしまうからかもしれません。
小さいお子さんのいる家族連れも見かけなかったし。

面白いことに、人は「マナー違反にはなりませんよ」「どうぞご遠慮なく」と言われると、かえって遠慮してしまう。
これが心理でしょうか。

東京国立近代美術館で毎日やっているギャラリートークは、ガイドさんが一方通行で説明するのではなく、参加者との対話型で進行。
これなら会話を醸成できるかというと、これまた難しい。

確かに感想を述べ合えるのですが、誰か一人がベラベラ私見を述べて終わるとか、そもそも遠慮して話さない人が出てくるとか、ばらつきが出てしまうのです。

一個人として観る側の結論としては、作品を観て、キャプションを読んで、後で反芻する、一緒に行った人がいるなら鑑賞後に感想を共有する――くらいでいいんじゃないかな。
そのうえで美術館側は、観ながら喋りたい人に向けては、長野県立美術館の試みのように、日(や時間帯)によって「トークフリーデー(トークフリータイム)」を設けるなどしたらいい。

結局のところいかにお膳立てしようとも、観る側の好みや感受性によるのだから。
美術館側が客をどうこうするよりも、展示の見せ方や導線に心血を注いだほうがいい気がします。

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|SMWS会員|訪問したBAR国内外合わせて200軒超|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|健全な酒活|ブログは不定期更新2,000記事超(2022年11月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性