東京国立博物館の東洋館3室で開催されている特別展『人、神、自然 ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界』(~2020年2月9日)を観てきました。さしたる興味もなく「先史時代の古代美術品の数々が見られるのだろう」と、気軽に足を運んだのですが、ひと回りしてビックリ。何度でも繰り返し見てみたい美術品ばかりで、ファンタジー好きは堪えられない展覧会です。
「アールサーニ・コレクション」とは、カタール王族のシェイク・ハマド・ビン・アブドラ・アール・サーニ殿下によるコレクション。紀元前~後3世紀ごろまでまたがるいにしえの所蔵品年代、エジプトや西アジア、中央アジア、中国、ペルーなど世界各地域から生まれた品々。会場の東洋館2階3室には、それら117点が展示されています。
工芸品、アクセサリーなどの装身具、神を供応するための彫像、動物を模した杯。ガラスケースを隔てたそれらは手のひらサイズ以下のサイズの小さなものが多数、「人、神、自然」のテーマ別に展示されています。
なかでも後半のリュトンは、今のデキャンタのようなものですが、お酒を注ぎきる、飲み切らないと置けない(置いてしまうと、傾いてこぼれてしまう)というもの。今の時代に使おうものならアルハラ確実ですが、神々や自然との儀式に用いる神聖なものとして重宝されていたのでしょう。古代人のオシャレさ、美意識、感性の鋭さに言葉をなくしました。
世界各地からお宝ハンティングした中東王族のスケール感は言わずもがなですが、もうひとつ驚くべきは展示品の秀麗さ、保存の良さ。カラフルありキンピカあり、光沢も損なわれていません。古代に生まれた美術品というのに、最良の状態を維持するのがそもそもすごいこと。
入場は総合文化展の観覧券(一般620円)でオッケー。展示室は写真撮影全面禁止で、ゆったり見られます。恐ろしく美しい、その神秘的な世界、ぜひ観に行ってみてください。