長野県立美術館に足を運んだら、別館の東山魁夷館も見落とし厳禁です。
東山魁夷は日本画家の大家であり説明不要でしょう。
東山魁夷館は、長野県立美術館の前身である長野県信濃美術館の併設館として1990年にオープン。
画家本人から寄贈された作品に加え、開館後に収集、寄贈された作品を含めると所蔵数は970点にも及ぶそうです。
定期的に展示替えが行われており、2024年度は5期にわたりコレクション展が開催されます。
第1期は連作『白い馬の見える風景』の起点となった『緑響く』や、オーストリア取材をもとにした『沼の静寂』など46点を紹介。
5月6日の命日にちなみ、絶筆である『夕星』も展示されています。
この絶筆作品が、そこはかとない寂寥感に溢れててね。
幾多の取材旅行で内外の地を訪れた東山が、そのどこでもない「夢に見た風景」を表した作品で、中央に描写した木立は家族の隠喩ともいわれているとか。
まもなくの旅立ちを予期して、自らの作品に永遠の憩いを封じ込めたのでしょうか。
寂しさに満ちた物語性がたまりません。
県立美術館含む展示作品で、個人的に最も魅了されたのは、『京洛四季』シリーズ。
川端康成に勧められて訪れた京都で、東山は町の風景を描いています。
東山にかかると当然単なるスケッチではなく、町そのものが民芸品のような味わいに。
鑑賞しながら芹沢銈介の画を想起しました。
展示点数こそ控えめですが、これくらいの規模で常設され、時折展示替えされるくらいで程よいというもの。
毎回訪れる楽しみってのが、ありますからね。