自営業やフリーランスの方は、「定年」がない分、自分の気力・体力さえ保てればいつまでも現役でいられます。
そうでないサラリーマンも、定年後、第二の人生的に仕事を続ける人が珍しくありませんが、定年をひとつのマイルストーンとして意識しないわけにはいかないのではないでしょうか。
ぼく自身はまだ定年まで全然先ですので、想像するしかありませんが。
フリーランスのなかでも、特に人前に出る仕事の人(=タレント、政治家、スポーツ選手など)は「引きどき」が本当に難しいなと、傍で見て感じます。
「引きどき」は2種類あって、現役引退時ともうひとつ、引退後完全にメディアに登場しなくなるときです。
プロスポーツのレジェンドにみる表舞台からの引き際
長嶋茂雄さんは脳梗塞から回復後、後遺症が傍目にもわかるなかで、たびたび公の場に出ています。これなどはファンを安堵させるには十分です。
他方、アントニオ猪木さんは「ファンはギブアップを許してくれない」と難病闘病中の姿をあえてさらしました。
猪木ファン、プロレスファンは本当にギブアップを許さなかったのでしょうか。床に臥せっている姿を見たかったのでしょうか。痛ましさを覚えるファンはいなかったのでしょうか。
背負っている過酷なものに言葉を失います。
引き合いに出してしまいましたが、プロスポーツ界のレジェンドたるこの二人は、やはりカメラの向こうのファンを意識し、常にしゃんとしている。
とてもじゃないけど真似できない。本当にすごいことです。
地位に恋々とする老人が目立つ政治家
酷いのはいつまでも引退せず、あるいは引導を渡される形で老醜をさらす政治家ね、誰とは言いませんが。
政府与党が若者ではなく年寄り重視の政策を行っているのも、旧態依然で何も変わろうと、変えようとしないのもむべなるかな。
爺さんが権力を握り続けて離さないんだから、そりゃ国力向上どころか衰退する一方ですわ。
もちろん経済を回す主力エンジンは民間ですが、出処進退を決断しない政治中枢の現状は、グダグダ日本の映し鏡なんじゃないですか。
ゴシップの象徴たるタレントさんには、「あえて出ない時期」が必要
政治家と違い、常に人前で騒がれ、撮影現場や舞台上でスポットライトを浴びる俳優、歌手、タレントさん。
出続けているからこそ、仕事量の調整は必要です。
舞台上でずーっと照明にさらされていれば、視力は落ちるし、肌はライト焼けする。
撮影に追われていれば、カットがかかった瞬間どっと疲れが出てしまう。
「エンタメで夢を売る」人気商売だからこそ、むしろ引っ込む時期があって然るべき。
ぼくの好きな女優さんの一人、花總まりという方は、宝塚歌劇団退団後の2006年から4年の”潜伏期間”を経て、舞台に復帰しています。
結果仕事の切れ目がないほどで、さながら今は第2期黄金期といったところ。
誰だって齢は取る
ピークがあれば、下降線を下らないわけにはいきません。
本人は坂道を下りる当事者であり、支持者やファンはそれを見たくなくても見届けざるを得ない。
キラキラは永遠に眩いものではなく、人生において瞬間的。だからこそ美しいのです。