東京都現代美術館『日本現代美術私観 高橋龍太郎コレクション』展(2024年8月3日~同年11月10日、入場料:一般2,100円)。
著名な精神科医でもある高橋龍太郎氏のコレクションから、日本の現代アートを概観する作品展です。
氏が1997年から集めた作品数は3,500点以上で、現在もなお若手作家の作品を中心に手を広げています。
本展の展示数は参考出品も含め230点超。さほどでもない印象を受けるかもしれませんが、早足で観て3時間弱かかりました。
でも時間を確保して鑑賞するだけの価値は大いにあります。
草間彌生、横尾忠則、会田誠、山口晃、村上隆、ヤノベケンジ、池田学、森村泰昌、奈良美智 and More……が一堂に会するんですぜ。
ずいぶん以前にも同氏のコレクション展を観た記憶がありますが、会田誠と山口晃を同じ展覧会で観られる僥倖。
山口画伯のキャリア初期作『當卋おばか合戦』は今の画伯の作風に比べると余白が効果的だし、会田誠さんの『紐育空爆之図』が米同時多発テロ事件よりも前に描かれた作品と改めて気づかされたし、村上隆さんの『ルイ・ヴィトンのお花畑』は今なお心浮き立つものを感じさせるし。
高橋龍太郎さんのコレクションを時系列にたどる構成で、これらは前半の第1章(撮影禁止)~第3章に展示。有名作の再見でも、驚きと発見があります。
第4章~第6章は2011年の東日本大震災以降にコレクションされた作品群の展示です。
個人的にはここから急速に消耗感が。アーティストの自我に当てられるというか、鑑賞の蓄積でグッタリしてしまったんですよね。新作落語の会を聴いたかのような疲労感に襲われました。
そんななかでも「これは」と目を引いたのは、青木美歌『Her songs are floating』、名もなき実昌『低画質地獄 ( ´△`;;)』。
作品そのものもさることながら、発想や装置の駆使のセンスを垣間見ました。
アーティストの作品をテーマ性をもって見せる展覧会と違い、コレクション展はアーティストの一球入魂的な作品が集うだけに、パワーにやられてしまい、とにかく疲れました。
口直しになった常設展(同館のコレクション展)については次の記事で。