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竹内政明さんの文章が素敵だ。

竹内政明の「編集手帳」傑作選

5月に上梓された『読売新聞 朝刊一面コラム 竹内政明の「編集手帳」傑作選』(竹内政明、中公新書ラクレ)を読みました。

竹内さんは1955年生まれ、読売新聞東京本社論説委員です。2015年度の日本記者クラブ賞受賞のほか『名文どろぼう』『名セリフどろぼう』『「編集手帳」の文章術』(いずれも文春新書)があります。

本書は読売新聞の一面コラム「編集手帳」に竹内さんが書いた自選のコラムを掲載。人物や事件・事象に光を当て、その知られざる側面を明かしつつ、淡々とした文章が掲載されています。新聞のコラムですから実質1日分が見開きで収まるため、非常に読みやすい。ネットの文章に慣れて、紙の文章はどうも……という方にこそ、おすすめしたいです。

竹内さんの文章は淡々としていて、押しつけがましさ、今でいう「上から目線」感が全然ありません。決して煽るとか盛り上げるとか、そういう書き方をしない。それなのに、静かに沁みるんですよね。

竹内さんが本を大量に読んでいて、もともと頭がよくて、教養人であることは疑いの余地がありません。けれど、それをカタチにして、人に読まれる、心に入ってくる文章にすることは誰もができることでありません。

なぜか。竹内さんが日本記者クラブ賞を受賞したときの講演録を読むと、そのルーツを垣間見ることができます。幸せな人間はほっといていい、むしろ日の当たらない人や不幸せな人に言葉を使う。そうすると東日本大震災のときなどは、コラムを書くたびに疲れてしまう。

スターではなく、ふつうの人。夜討ち朝駆けのような体を張った取材ではなく、想像力を駆使したことによる心労からの疲れ。そういう書き方をする自分を指して竹内さんは「へそまがり」と自嘲されますが、「へそまがり」にはこういう優しい人だっているのです。その優しさこそが、名コラムニストの証と言ったら言い過ぎでしょうか。

すてきな文章・詩・詞を書く人を追いかけたいと思いますが、竹内さんもその一人です。

以前、新聞コラムが好きという話をしました。今の時代、マスコミが嫌われる傾向にありますが、オールドメディアがそれでもなお厳然と君臨しているのはなぜか。星の数ほどある情報の中で、取捨選択の一つたる価値があるからではないでしょうか。一面コラムはその最たる一例かと思います。読むに値するのだから。

竹内政明の「編集手帳」傑作選

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

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