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俺のアヅマバシ 吾妻橋開架250周年記念:ノリに乗る三人会

俺のアヅマバシ(2024年)

「お暑いさなかに冬噺」「白鳥・三三 両極端の会」など、多数のユニークな落語会を企画しているらくご@座の主催の会。
吾妻橋縛りの落語会は今回で3回目、好評なのもわかります。

平林 春風亭㐂いち
星野屋 柳亭こみち
シン・アナゴ~大川橋由来~ 春風亭一之輔
仲入り
文七元結 柳家喬太郎

2024年10月16日 19時開演
イイノホール

柳亭こみち『星野屋』

浅草の水茶屋のお花を訪ねてきた大店星野屋の主人。
主人は店の経営不振で首が回らない状態に陥っており、大川(現在の隅田川)に身投げする前にお花を訪ねてきた。
お花は「旦那が死んでしまったら、あたしは生きていけないわ!」と言い、星野屋は「では一緒に死のう」と心中を持ちかける。が、お花は土壇場で怖気づき、星野屋が欄干を乗り越えたのを見届けて帰宅してしまう。
ここから噺はお花と旦那、顔なじみの男、さらにお花の母親による四つ巴コンゲームの様相を呈してくるのですが、途中でミュージカル仕立てにするのがこみち流。

サザンオールスターズ、Winkなど、さながら三味線バックの歌謡ショーといった趣き。まくらでの『ふぞろいの林檎たち』『男女7人夏物語』『ビバリーヒルズ高校白書』などのドラマ回顧談は、全部フリだったのかとニヤリ。しかし20〜30代は知らないよね。

春風亭一之輔『シン・アナゴ~大川橋由来~』

両国橋で巨大アナゴに駆逐された白魚1匹が、トト吉いう人間に助けられる。トト吉の大家の伊右衛門は舟を壊すなどの横暴を働くアナゴを捉えようと、一計を案じる。

一之輔さんは、「袴で出てくるときは変な噺をするときですから」との前振りでしたが、噺自体は異色の任侠もの。隅田川を泳ぐ魚と、周辺に暮らす人間の人情ものでもあります。伊右衛門さんは実際に吾妻橋の開架に尽力した浅草花川戸の町人です。

柳家喬太郎『文七元結』

前のふたりの自由な高座に、上がるなり「いいなぁ」と羨ましげな喬太郎さん。今日の出演者にひとしきり言及しつつ、すぐに本題へ。

吉原の大店、佐野槌の女将が男気をもってギャンブル依存の長兵衛を叱咤する緊張感。50両ものスリに遭ったと勘違いして隅田川に身投げしようとする奉公人の文七を必死に止める長兵衛。

死ぬとわかっているやつを見殺しにするのは寝覚めが悪いからと、最後は文七に金子を押しつけるようにして立ち去る長兵衛。喬太郎さんはここに特に時間を割いて、目先のカネか善行かの選択に苦悩する長兵衛を演じます。

終わってみれば約50分もの長講で、喬太郎さんのサービス精神だなぁと。

まとめ

今ノリに乗る顔付のユニークないい会でした。

こみちさんの噺は『辰巳の辻占』『品川心中』に似た、花魁が男と心中すると見せかけて止める噺ですが、あまり嫌な感じがしないのはジコチューな主人のキャラゆえか、こみちさんの演じ方ゆえか。

一之輔さんは魚の動き方や仕草(?)など、細かいところの演出にも念が入っていて、新作でもオソロシイ才能を見せてくれます。

ここで新作と古典の二刀流にして、古典も本格派の喬太郎さんが締めくくる安心感。もう年末ですね。

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|SMWS会員|訪問したBAR国内外合わせて200軒超|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|健全な酒活|ブログは不定期更新2,000記事超(2022年11月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性