第34回『COREDO落語会』(6月24日17時開演、日本橋三井ホール)に行ってきました。
青菜 林家たい平
三枚起請 三遊亭兼好
船徳 桃月庵白酒
中入り
すみれ荘201号 柳家喬太郎
山本益博さんが席亭を務めるこちらの会、ネタ出しが恒例のようで、今回も会場で何がかけられるのか知りました。
植木屋さんが風流な顧客夫婦のやり取りを真似ようとして上手く行かない「青菜」。人気の夏の演目で、お客さんも大ウケ。皆、この噺好きだねぇ。たい平さんが演じる植木屋の奥さんは、汗が飛んできそうな暑苦しさ。
「三枚起請」をかけた兼好さんは、悪女喜瀬川と意気地のない3人の男との掛け合いがデフォルメ。上げた手を下ろせない男が口をついて出たセリフに、まさかのご時世ネタ。細かいなぁ。
頼りない若旦那がカッコ付けで即席船頭となり、浅草寺詣りの乗客をハラハラさせる「船徳」。徳さんが見栄えを気にして、ええかっこしいになるのを、乗客が突っ込む繰り返し。白酒さんが演じると、聞き慣れた夏の噺も愉快に。
トリは喬太郎さん。日大商学部時代に所属していたサークル、落研=落語研究会のまくらからの本題。落研同士のカップルが互いに嫌気。カップルの女のほう=裕美子は彼氏に、故郷で見合いをして結婚を決めたから別れようと告げるが。
始終、南こうせつの「神田川」のような世界が漂い、倦怠感とともに酸っぱさが。その酸っぱさを通り越して脱力へといざなうサゲ、なんとも言えない噺です。喬太郎さんの新作のバラエティ豊かなことよ。
この日は開口一番で柳家しろ八さん、三遊亭わん丈さんが登場。歌舞伎の音声ガイドをヒントに、落語で同じことをやったらどうかという実験的趣向。しろ八さんが「子褒め」を演じつつ、ところどころで”ミュート”して、高座の傍に座るわん丈さんが解説する構成。もちろん正攻法の解説のはずがなく、笑わせにきたのは言うまでもありません。
残念な客席配置と残念な客
毎度、盛りだくさんの落語会なのだけど、日本橋三井ホールの座席配列には苦言を呈します。誰が決めてるの、これ。ただ単に椅子を整然と並べられてもね。主催者はいっぺん自分で客席に座ってみそ。前に人を座らせてさ。そのうえで見やすい配置を考えてみてよ。「千鳥配列 劇場」でググるとヒントが出てくるから。
前の人の座高が高いと、落語の高座であっても舞台が見えないわけよ。今回のぼくがそのパターンで、おまけに前のおっさんが頭を固定せずにフラフラさせるものだから、全く落ち着かない。想像力もないし、見慣れてないんだよね、たぶん。うどの大木、木偶のおっさんどもは劇場に来るなとは言わんけど、せめて分を弁えて身を縮めててね。
劇場の特性で、このホールは舞台から前方半分くらいがパイプ椅子席で、むしろ舞台から遠い後列のほうが傾斜が付いていて見やすい。けったいな作りで、なぜこういう設計にしたのか、そしていったい何がしたいのか。素人には意図がわかりません。