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「唐茄子屋政談」は気風のいい職人さんが最高。

上野鈴本演芸場の2021年(令和3年)5月下席は隅田川馬石さんがトリ。
「馬石昼間の長講」と題した特別企画公演の三日目(5月23日)を観てきました。
全日ネタ出しで、この日は「唐茄子屋政談」です。

牛褒め こはく
大神楽曲芸 仙四郎仙成
黄金の大黒 歌彦〈祝二つ目昇進〉
お菊の皿 柳朝
漫才 ホンキートンク
鰻屋 龍玉
長短 小里ん
化け物使い 圓太郎
休憩
浮世節 橘之助
浮世根問 甚語楼
紙切り 正楽
唐茄子屋政談 馬石

「情けは人のためならず、唐茄子屋政談の一席でした」で締めくくる人情噺。
吉原の放蕩が過ぎて勘当された若旦那が、唐茄子(かぼちゃ)を売って他人の情けを知り、人助けするストーリー。
馬石さんの演じる若旦那・徳三郎さんは、やっぱりヤワで色白のイイ男。
天秤を担いで「とうなぁすやぁ」と売り声を出せるようになったものの、往来に人がいると声を出せなくなる見栄坊でどこか憎めない。
人とすれ違うとき、目で気にする仕草が細かくて可笑しい。

登場する悪人は田原町誓願寺店の大家くらいで、あとは信じられないほどいい人ばかり。
徳三郎の身投げを止めて天秤を担がせた叔父さん夫婦、悲観して梁にぶら下がってしまった誓願寺店の品のいい奥さん。
なかでも最優秀助演は、往来でつまづいて品物をぶちまけてしまった徳三郎を助ける「名もなき御職人」さんだよな。
道行く知り合いに片っ端から声をかけて、「この人は大変なんだ、おい買ってやんなよ」と声をかける気っ風の良さ。
この職人さんがいちばん好きだな、かっこよすぎ。
聴くたびに思います。

徳三郎が後半に唐茄子を売る誓願寺店の奥さんは、子どもにごはんも与えられないほどの窮状。
案じた徳三郎は奥さんに売上をそっくり渡してしまう。
この奥さんから「家賃がたまってる」と取り上げる大家が、物語の唯一の悪人。
世の大家さんや不動産投資業の人などは、この話、嫌いかもね。
ご時世的にも。

ところで、馬石さんの今回の特別公演は「幕見券」が1,500円で販売されています。
休憩(14時30分ごろ)から膝前の演者が入る時間(15時05分頃)までに来れば、お得な料金で後半を楽しめる寸法。
これはいい試み、トリだけ見たいって人はいるだろうし。

鈴本演芸場2021年5月下席

この日の出演者では、新コンビとなったホンキートンクをようやく初めて見られたこと。
やはり前のコンビ時代とはスピード感や間合いが微妙に異なりますね、早く定着してほしいな。
龍玉さんはシブく、そして最高に可笑しい演目を相変わらずやってくださいます。

隅田川馬石さんの幟(鈴本演芸場)

鈴本はなんとチケット購入時にスーパーにあるようなセルフレジ(?)を導入していました。
入口自動ドアの手前にあるテケツは廃止?
セルフレジはスタッフのおねえさんが側で見てくれるので使い方に難儀することはないです、ご安心を。
皆の安全を考えればの設備投資でしょうか……えらい時代になったもんです。

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hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

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