鎌倉はなし会主催「春風亭一朝 春風亭一之輔親子会」(鎌倉芸術館小ホール)に行ってきました。それぞれネタ出し2席、お楽しみ2席の計4席。この日は途中休憩後、「寄席囃子音曲講座」という珍しい趣向が。
春風亭一花「子ほめ」
春風亭一朝「七段目」
春風亭一之輔「睨み返し」
仲入り
一朝、一之輔、一花、森吉あき、朝七「寄席囃子音曲講座」
春風亭一之輔「普段の袴」
春風亭一朝「品川心中」
会場の鎌倉芸術館小ホールはキャパ600人がほぼ満員。お楽しみで一朝さんが「七段目」、一之輔さんが「普段の袴」をかけました。「七段目は」一朝さんおなじみの芝居噺、「普段の袴」は一之輔さんがCDにも入れているくらい。師匠と弟子でそれぞれ得意な噺でした。
一朝さんは、翌週に迫った一門会の話題でまくら。企画したのが一之輔さんで、「スケジュールを確認に来たのがワタシが最後だった」と笑わせると、一之輔さんは「自分の師匠ですよ、いちばん最初に予定を聞きに行くにきまっているじゃないですか」とこれを否定。
10人もメンバーがいるんですから大変ですよね。一之輔さんは「どうかすると前座のほうが予定が空いてない」と立腹気味。「会ったこともない前座にお年玉を渡さなきゃいけない」という正月、12月上席は池袋演芸場でトリを務めているため、「東海道線止まればいいのに」と忙しさのあまりボヤキ気味の一之輔さんでした。
この日は、休憩後に「寄席囃子音曲講座」が。ステージに演者全員が出てきて、三味線、太鼓、笛を演奏しつつ、その背景を解説してくれるもので、これが幕間の趣向にしてはかなり面白かった。
笛の心得がある一朝さん。義弟は片岡亀蔵さんで、一朝さん自身も歌舞伎座で実際に笛を吹いていたこともあるというだけに、この日は一朝さん自ら笛を吹く大サービス。
一之輔さんが司会役で、客席から出囃子のリクエストを募ります。ここで観客のリクエストがいい。噺家の名前ではなく、曲名で伝えていたんですよ。
「老松!」なんてリクエストがかかって、一之輔さんが「すごい。曲名ですか、お客さん二人から同時に来ましたよ」とビックリ。終始こんな感じで、一之輔さんが「次はありますか」と声をかけるたび、客席が反応する。その繰り返し。
志ん朝さんの「老松」のほか、「野崎」(八代目桂文楽)、「梅の栄」(柳家喜多八)、「二上りかっこ」(柳家小三治)、「梅は咲いたか」(立川志の輔)などを聴くことができました。
川や波、怪談の「うらめしや」を再現する場面も。「川」のシーンでは、太鼓から三味線が加わり、一之輔さんが船頭さんのシークエンスを話し出すと、もうまさに「佃祭」の世界。
裏側で華やかさを演出する寄席囃子。森吉さんがセンターの座布団に座って三味線を弾き、その横で一朝さんが笛を吹き、弟子の一花さん、朝七さんが太鼓をたたき、一之輔さんが司会をする。
ホール落語会ならではの演出と企画で、得した気分でした。