今回の青森旅行では、太宰治がテーマのひとつ。太宰が著書『津軽』において、「津軽人の魂の拠りどころ」と激賞した弘前城に足を運んでみました。
ソメイヨシノやシダレザクラなどの桜で有名な、弘前公園の有料区域内(大人320円)にある弘前城。津軽を統一した津軽為信が発案し、二代藩主信枚(のぶひら)が1611年に完成させた城で、重要文化財に定められています。
最初の天守は1627年に落雷が原因で焼失。現在の天守は、九代藩主寧親が1810年に完成させたもので、現存する天守としては東北地方唯一。
天守閣だけ鎮座している城は、往時の威厳よりもどこかかわいらしい趣きが。
この天守、実は1915年(大正4年)の以来、100年ぶりの石垣修理工事中。石垣崩落の恐れがあるため、天守を本丸の内側に約70m移設(曳屋)し、積み直しを行っているのです。
園内には大正期の石垣に再利用された築城時の築石のひとつが展示されていて、横長の特殊な形をした石は石垣の荷重が大きくかかる下段部に配置されていたそう(下写真)。亀裂が多く、補修再利用が難しいため、今回の積み直しでは新しい石材と交換することになるのだとか。
庭園を掃除する「たかがりくん」とは?
天守もさることながら、番外で目を引いたのが庭園をひとり黙々と芝刈りするロボット芝刈機。その名も「たかがりくん」。
お部屋のお掃除ロボをアウトドア仕様にタイヤを付けて頑丈にしたイメージで、障害物に触れると自動で向きを変えて自在に動きます。
ひたすら黙々と動く(働く)たかがりくんに、しばし立ち止まって見入りました。なんというか、孤独な働きぶりに寂寥感がこみ上げてくるのですよ。
たかがりくんを太宰が見たら、なんて言うのかなぁ。
#2024年の青森県の旅(4)