作家・太宰治の生家『斜陽館』から5分も歩いたところに、『旧津島家新座敷(太宰治疎開の家)』があります。
今回の旅のテーマは太宰を巡るものでもありますから、寄らないわけにはいきません。
もともとここは斜陽館=津島邸母屋の離れであり、1922年に太宰の長兄・文治のために建築されたもの。太宰が亡くなった1948年、斜陽館から東に90メートルほど離れた現在の場所に移築されました。
太宰は東京で激しさを増す空襲を逃れるため、1945年7月に妻子とともに新座敷に疎開しています。1946年に東京・三鷹の自宅に戻るまでの約1年、太宰は新座敷で『パンドラの匣』『苦悩の年鑑』など23もの作品を書き上げました。
奥まった和室には座卓と座布団、火鉢が。太宰が実際に筆を取っていた場所だそうです。
ここに座ると太宰のように文章が上手くなるといわれているそうで、もちろん座らせていただきました。
ただ座っているだけで不思議な感覚に見舞われるというか、約80年の時を超えて太宰と巡り合わせられる僥倖に、ただ茫然としていました。
多くの観光客で活気ある斜陽館は、その豪胆さに目を奪われますが、ここ新座敷は一転して静謐な空間です。
ワシは至るところにかけられた太宰の作品の紙片と、ゆかりの新聞や雑誌記事のスクラップなどを読み込みながら、ただ息をするだけ、過ごすだけの心静かな時間を束の間過ごしました。
また伺います。
旧津島家新座敷(太宰治疎開の家)概要
- 所在地:青森県五所川原市金木町朝日山317-9
- 開館時間:9時〜17時
- 休館日:第1・第3水曜日
- 入館料:大人500円、小中学生250円
#2024年の青森県の旅(10)