アルプスの玄関口である「岳都」、芸術と文化の発信地としての「楽都」、教育や学習環境の充実した「学都」。長野県松本市は3つの「がくと」をうたっています。
松本といえば小澤征爾さんのサイトウ・キネン・オーケストラが有名です、が、もう一人、松本市出身の芸術家・草間彌生さんがいます。松本市美術館で草間さんのコレクション展が開かれていましたので、行ってきました。
「魂のおきどころ」と名づけられた展示は来年2019年3月31日まで開催されるそう。展示室の1室のみで、作品数こそ少なかったですが、初期の肉筆画から最近のアクリルキャンバスの大判の作品まで、初めて目にするものがありました(草間さんは、展覧会のたびに作品が増えていくので当然ですが)。
ここ松本市美術館で初めて見たもののうち、「傷みのシャンデリア」というミクストメディアにやられてしまいました。鏡(何面鏡だ?)に囲われた空間の中央に、消えてしまいそうに明滅するシャンデリアが掲げられています。これね、まるでミュージカル『エリザベート』の鏡の間ですよ……って、ごくごく一部の人にしか分かりませんね。
それにしても。草間彌生という人の作品を最初に見たときには狂気を覚えたものですが。今ではすっかりポップでキュートで、なにより生へのエネルギーを感じられるようになりました。なんというか、気持ちが上がるんですよね。無限を感じさせる唯一無二の世界、増殖という言葉がぴったりの驚異的な作品の量産、肯定的なメッセージ。
彼女を見ていると立ち止まっている場合ではないという、励ましをももらう。そんな気がします。