毒っ気満載のまくら&今風古典の白酒さんの会。オカルティック(ファンタジック?)な新作を聴けました。
オープニングスケッチショー 頼光&白酒
子ほめ ぼんぼり
虹の男 白酒
血煙高田馬場 頼光
サザザさん四 頼光
仲入り
お化け長屋 白酒
2025年5月22日 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
『虹の男』桃月庵白酒
後輩の女子が男連れで待ち合わせ場所の喫茶店に来た。
男の正体は彼氏でもきょうだいでもなく幽霊。女子はこの幽霊に取り憑かれてしまったからなんとかしてほしい、とSF雑誌好きの先輩を頼ってきたのだ。
男には幽霊らしからぬ足もあり会話もできる。男が言うに、レインボーブリッジで面識のない女性に「くたばれ!」と罵られながら突き落とされたという。後輩の女子に取り憑いたのは、犯人と同じく髪が長かったからという男の言い分に呆れながらも、手がかりを探そうと3人で現場のレインボーブリッジへ。
そこで犯人と遭遇した幽霊は、犯人に生存していたことを驚かれる。しかも長髪の女性と思っていた犯人はバンドマンの男性だった。
突き落とした犯人から、衝撃の事実が明かされる。
実は落語を創作していた白酒さん
幽霊が出てくるとガチの怪談ではないどころか、むしろコミカルに噺を転がしていく白酒さん。
前座時代に三遊亭圓丈さんの「勧誘」を受けて、新作に取り組んでいた時期があったとまくらで述懐しつつ、当時の苦心談をさらりと振り返ります。
勧誘のときとは打って変わってダメ出しは容赦なく、トラウマになってしまった噺家も。白酒さんは二つ目に上がる際、圓丈さんに「『古典に集中したい』と言って逃げた」とか。
白酒さんは『メルヘンもう半分』(三遊亭白鳥作)や、『寄席よりの使者』などの奇想天外な新作を手がけるだけに、新作の会などもぜひお願いしたいところです。
ゲスト・坂本頼光さんの活弁
この日のゲストは活弁士の坂本頼光さんが2作を披露。無声映画の雄、大河内傳次郎主演の『血煙高田馬場 』での客を引き込む活弁に加え、オリジナル作品も。
その『サザザさん』は誰もが知る国民的アニメをパロディ化したもので、絵と脚本は完全オリジナルです。
活弁士になる前に水木しげるさんのもとで漫画を学んでいた時期があるとかで、輪郭はあの作品にして顔貌は完全に『ゲゲゲの鬼太郎』のそれ。
しかも脚本はブラックなギャグ満載で、本人曰く「寄席ではかけられない」のもわかります。
とにかく「ヤバい」作品でした。こういうの、ほんと好きw
まとめ
頼光さんは個人的に初見でした。落語芸術協会の所属であまり見かけることはありませんが、もっと露出してほしい方です。
白酒さん贔屓ながら新作を披露するこの会には伺ったことがなく、半休取って確実に訪問。古典でもチャレンジな演題をどんどんかけてほしい。図々しいですが、ネタ下ろしとかね。