上野鈴本演芸場2022年(令和4年)7月下席昼の部は、柳亭こみちさん主任。
その千秋楽(7月30日)はまさかの新作落語、それも三遊亭白鳥さん作「任侠流山動物園」でした。
古典以外は想像すらしていなかったので、これには仰天しました。
(途中から)
湯屋番 一朝
漫才 ニックス
へっつい幽霊 今松
猫の皿 律歌
ギター漫談 ペペ桜井
片棒 燕路
仲入り
太神楽曲芸 勝丸
都々逸親子 玉の輔
長短 文菊
紙切り 楽一
任侠流山動物園 こみち
閑古鳥の鳴く流山動物園に胸を痛めたブタの豚次は、かつて自分が世話になった上野動物園のパンダ親分に「流山動物園に来てほしい」と助けを乞う。
だが、豚次はパンダから裏切り者と罵られた挙げ句、酷い目に遭わされて、息も絶え絶え流山に帰ってくる。
その後ドリトル先生の助けで人間の言葉を覚えた動物たちの効果で、流山動物園は大繁盛。
これを知ったパンダたち上野動物園の動物たちが、流山動物園に殴り込みをかけてきて……という、はちゃめちゃなストーリー。
パンダを極妻風の「姐さん」にしたり、高座の途中で踊りを入れたり、ただでさえブヒブヒと賑やかな噺なのに、さらに独自のアレンジを加えた豚次こみち版。
前に登場したニックスのネタを噺に織り込むなど、自由な展開が楽しい。
なによりも、こみちさん自身が最高に楽しそうに演っていて、見ているこちらの気分も上がります。
しかもトリが終わった後、なんとペペ桜井さんと、こみちさんのユニットによる音曲を披露。
こみちさんが玩具のピアノを弾き、ペペさんのギターで披露されたのは「若者たち」。
なぜこんな悲しい曲を……と思うまもなく、ハーモニカを吹きながら「若者たち」を歌うというペペさんの新ネタを、二人で歌う荒技に。
しっとりから爆笑をとる、なんとも可笑しくチャーミングな、その名も「ペペとこみち」なのでした。
再共演ぜひ。
この日は律歌さんが、落語を終えた後に「かっぽれ」を披露するなど、落語なのに踊りをたくさん見た印象。
むかし家今松さんが「へっつい幽霊」をかけたのには驚きました。
大ネタの印象が強かったのですが。前半の道具屋と客のやり取りを削るなどして短縮。
それでも流れが全く不自然でない。
今松さん、個人的にもっと聴きたい噺家さんです。