2025年3月27日に一部オープンした高輪ゲートウェイシティのこけら落とし催事のひとつ。
一之輔さんの高輪ゲートウェイいじりと、兼好さんの上手さが特に光った会でした。
寛永三馬術 愛宕山梅花の誉 いちか
冷蔵庫の光 和泉
笠碁 一之輔
お仲入り
日本舞踊 松竹日本舞踊ラボ
殿様団子 夢丸
紙切り 楽一
締め込み 兼好
2025年5月17日 THE LINK PILLAR1 HALL A・B
「バラエティー」と銘打たれた2部のテーマは演者にとって格好のネタで、オープニングの田辺いちかさん曰く「何をやってもいい」との解釈はその通り。
ちなみに1部は雲助さんや鉄道落語の駒治さんがキャスティングされた「旅と電車」なるテーマで、それに引き換え2部の演者はいかにも括りようが苦しい。
いちかさんのめでたい講談で幕を開けた後は、弁財亭和泉さんの新作『冷蔵庫の光』。
賞味期限切れのもので埋め尽くされた冷蔵庫を掃除する夫婦の話で、妻がため込む物があるあるすぎてコワ面白い。
何種類も買い込んだドレッシング、道の駅で試食につられて買った瓶詰、フリーザーの奥底からハーゲンダッツなどが旦那の手によって次々に掘り起こされる。冷蔵庫の効力を信じすぎる妻の言い訳がまた可笑しい。
「前の仕事を終えて14時30分に勇んできた」と一之輔さん。
高輪ゲートウェイ駅周辺にコーヒーショップが少ない、駅を出て会場まで近いが不安になる導線(会場のホールはB2でエスカレーターを3回乗り継ぐ)などひとしきりボヤき、早く会場に来すぎたので裏の通り(第一京浜のこと)を品川に向かって散歩するも何もないっ!とおかんむり。そーそー、品川駅から泉岳寺駅ってビルかマンションか邸宅ばかりなんだよな。
この日は雨模様でしたが夕方「雨もあがったようですね」と『笠碁』を。個人的に五指に入るほど好きですが、なにより一之輔さんに似合った演目だなぁとつくづくしみじみ。
紙切りの楽一さんは「コンクラーベ」「富士山」「大の里」などのリクエストを。できた作品を前座さんが客席に届けるスタイルは珍しい。
トリの兼好さんは『締め込み』。空き巣に入った泥棒が物色中に帰宅した旦那に見つかるまいと慌てて姿を隠す。だが泥棒が持ち込んだ風呂敷包みを見た旦那は、妻が間男と駆け落ちするのではと疑ってーーという粗忽な噺。
旦那と妻の夫婦げんかが見もので、お人よしなサゲもいい感じ。
兼好さんはスピード感があるし、女性の演じ方が上手い。刑務所の職業訓練でマッサージ師の資格を得た女スリが客を施術中に代金を抜き取るくだりのマクラなど、もう鮮やかだったなぁ。