鈴本演芸場2025年10月上席夜の部は桃月庵白酒さん主任。「浮世女男夫婦模様(うきよめおたちのいろいろ)」と題するネタ出し公演、5日目を見てきました。
(途中から)
ナースコール 白鳥
茄子娘 扇辰
仲入り
民謡 あまね
働き方の改革 和泉
マジック ダーク広和
お直し 白酒
江戸の廓噺「お直し」あらすじ
花魁と店の牛太郎(若い衆)が懇ろに。本来御法度だが店の主人の温情でふたりは夫婦になり、女房は花魁から遣り手婆となって店への出勤を許される。
ところが亭主は博打に手を出し、無断欠勤を続けたことで暇を出されてしまう。亭主は蹴転(けころ)と呼ばれる吉原最下層の女郎屋を開き、女房が再び客を取ることに。
タイトルは線香1本が尽きる頃合いで、亭主が女に「直してもらいなよ」と声をかけて客から金をとることから。
客はもちろんこの客引きが亭主とは知らない。女の美貌を気に入った客は、酔っぱらった勢いも手伝って夫婦になってくれと女に告げる。
嫉妬する亭主は客が帰った後で、こんな商売は辞めだとふてくされる。ひとしきりの夫婦げんかの後、なぜか戻ってきた客がひとこと「直してもらいなよ」。
白酒さんが意外にも(?)ちゃんとやった
登場人物こそ少ないものの、夫婦の演じ分けと後半の酔客入り乱れてのやり取りが難しい人情噺でもあります。
白酒さんが本作をかけるのは意外でどこを弄るのかなと聴きに行ったのですが、これまた意外なことに白酒さんお得意の今風な改変をしていない。
「らしさ」を感じたのは噺のスピードの速さと、強気な女房が亭主を尻に敷く表現くらい。
いや、実は変えているのを気づかせないだけかもしれない。それはそれですごいことで。
まくらでは真打ちになる前の時代、鈴本近くの仲町通りのぼったくり店に入ってしまいピンチを切り抜けたエピソードを。これが白酒世界の助走になってるんですよね。