雲助さんの新作が印象的な落語会でした。
ネタ出しではなかったのですが、寄席のある都内以外でたまに開かれる会となると、こういう人情噺を聴きたいお客さんの要望もあるのかもね。
真田小憎 桃月庵ぼんばり
百川 桃月庵白酒
夜鷹そば屋 五街道雲助
2024年4月27日14時開演
長野市芸術館アクトスペース
雲助さんが演じた『夜鷹そば屋』とは
『夜鷹そば屋』は、新作落語『ラーメン屋』を江戸の世界に置き換えた噺とか。
ググってみると新作落語の中でも屈指の人情噺らしい。
屋台の蕎麦屋を営む老夫婦のもとに、年若い男が飛び込んできた。おばあさんは若者を見て、若いころのおじいさんに顔の造作がそっくりだと言う。腹を空かせていたのか瞬く間に1杯平らげた若者に、おばあさんは2杯・3杯と勧める。
それも食べ終えた若者は無銭飲食を白状し、番所に連れて行けという。たが、おじいさんはそうはせず、夫婦の住む長屋に連れて行き、酒でもてなす有様。
面食らう若者に、夫婦はあるリクエストをする。お足は払うからここで親子の掛け合いをしてほしい、と。
『夜鷹そば屋』は人の善の側面が形になった奇跡的な物語
なんだろう、この性善説を絵に描いたような物語は。
実は老夫婦は子どもに縁がなく、おばあさんのほうは今からでも心残りのようで、「田畑が悪い」「いや鍬ですよ」という可笑しいやり取りにも、夫婦のちょっとした寂しさがさりげなく。
そういう背景があってもなお、道を外した若者を我が子同然に扱おうとする夫婦はあっぱれ、としか言いようがない。
最終的にこの3人がどうなったかは検索すれば出てきます。でも、察しがつくよね。
まず現実では考えられない、イノセントな噺だなぁとすがすがしい気分でホールを出ました。
まとめ
ぼんぼりさんは長野出身であることをマクラにして拍手喝采。
白酒さんは連休前半は地元で過ごすのが賢明と言いつつ、なぜ寄席などに来てしまったのか我に返らないことが大事、テーマパークのキャラクターも着ぐるみに人が入っていると思わないでしょう、と。
新緑の季節、たまにはいい空気を吸いたく、東京から長野までチラッと。
てっきり2席ずつかと勘違い。移動時間や予算を鑑みれば、こうなるわけね。