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落語協会の定席、黒門亭に行ってきた。

黒門亭

東京・上野にある一般社団法人落語協会では、毎週土日の各2回(第1部は12時、第2部は14時30分開演)、定席を開いています。その名も「黒門亭」。念願かなって(大げさ)、ついに足を運んできました。

ずーっと行ってみたかったんですよね、黒門亭。落語協会のある上野1丁目の旧地名、黒門町に由来するのだろうと思います。「黒門町の師匠」こと八代目桂文楽さんの旧居もすぐ近くにあります。

伺ったのは2020年2月8日の第1部(三四七九回)。落語協会のサイトに掲載されているスケジュールを見て、直近の週末に金原亭伯楽さんがトリ、しかもネタ出しとのことで、これは行くしかないと腰が上がりました。

伯楽さんの演目は「お若伊之助」。伊之助はお若の芸事の先生だったが、若い美男美女同士いつしか深い仲に。これを見咎めた周りによって二人は別れることに、だが伊之助は、その後もお若の隠れ家へ毎晩ひそかに通っているという。手切れ金25両で別れさせたはずの伊之助が裏切ったと聞き、伊之助の面倒を見ていた鳶頭は怒り心頭で問い詰める。が、伊之助には「アリバイ」があった……という筋書き。

なんとも不思議な話です。SFというには進みすぎですが、昔話を見聞きしていない人が聴いてもピンとこない話かも。元の原典は長いストーリーらしいですが、この二人をハッピーエンドできれいにまとめた伯楽さんの噺、しみじみと響いてきました。

さて、初めて伺う黒門亭は、想像以上にこじんまりしたスペース。落語協会事務所2階の和室に高座が設けられ、背後の壁には「守破離」の額が。観客は畳の上にランダムに置かれた座布団をあてて、めいめい好きな場所から見ます。要するに全席自由、早い者勝ちです(定員40名)。最前列の特等席で見てもよし、最後列で後ろのお客さんに気遣うことなく見てもよし。

高座までの距離が、とにかく近い、近い。寄席も距離感は十分近いですが、その比ではありません。ぼくは前から2列目(というにもラフな感じ)の下手で見ましたが、噺家さんの顔のシワ、手ぬぐいに扇子を使って書く文字までが見えるほど。出囃子を奏でるお囃子さんもいらっしゃるし、マイクなしで十分に噺家さんの生声が聴こえます。

この日の前座、春風亭いっ休さんが正午に高座に上がり、春風亭ぴっかり☆さん、柳家さん枝さんの後に10分ほど休憩。桂才賀さん、伯楽さんの高座が終了したのは14時ちょうど。2時間で5人、木戸1,000円って破格ですよね(1部・2部通し券も限定10枚発売=2,000円)。何より、知る人ぞ知る感がたまりません。

なぜ落語協会がこのような場を、わざわざお膝元に設けているのでしょう。推測ですが、噺家さん、色物さんにとってトライアウトの機会なのではないでしょうか。あるときはゲネプロ的に、またあるときは「さらう」場に。ちっちゃな空間は、演者にとってブルペンで肩慣らしするピッチャーのごとく、ほどよい緊張感で臨めるのかもしれません。

自分ちの近くにありながら、足を運べていなかったのですが、またひとつ危険な穴場、遊び場を知ってしまいました。黒門亭チケット半券10枚で1回無料とのことで、これで通うなってのが無理!? ちょくちょく伺いますよっと。

黒門亭(2020年2月9日)

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hiroki「酒と共感の日々」

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