アフィリエイト広告を利用しています。

【演劇】『わが友ヒットラー』:4人の男が映す権力者の孤独と悲哀

【演劇】『わが友ヒットラー』(2025年12月)

三島由紀夫生誕百周年記念として上演された『わが友ヒットラー』(2025年12月11日〜同年12月21日、新国立劇場小劇場)鑑賞。
格式の高い文語調、長台詞の芝居を休憩なしで一気に見せる力作でした。
ト書きもきっちり書いている三島の戯曲をどう料理するか。戯曲を事前に読んでいた手前かなり期待しており、実際、松森望宏さんの演出と俳優の演技は正統的で、三島の世界をきっちり再現してくれていました。

本作は1934年にナチス党内で発生した実在の事件「長いナイフの夜(レーム事件)」を題材に、主人公アドルフ・ヒットラー(谷佳樹)とその周辺の人間関係の浮沈を描いています。
ヒットラーの刎頚の友である突撃隊(SA)の指導者エルンスト・レーム(小松準弥)、反りが合わない党左派のグレゴール・シュトラッサー(小西成弥)をいちどきに粛清すべく、葛藤するヒットラー。
その葛藤の奥に秘められた権力者の深い孤独と焦燥。
資本家のグスタフ・クルップ(森田順平)の助言(やがてヒットラーが彼を掌握する力関係の逆転)、レームとシュトラッサーの対立など横軸もしっかり描かれ、一筋縄でいかない関係性、権力闘争が浮き彫りにされます。

舞台はベルリン首相官邸大広間の設定で、奥にはバルコニー。第1幕の冒頭は、ヒットラーが観客に背を向けた形でバルコニーで演説を打つのはト書きそのまま。舞台向かってヒットラーの右にレーム、左にシュトラッサーがバルコニーに立ち、やはり観客に背を向けている。
その演説の最中を、クルップが下手からやってきて観客に向き合う形でテーブル席に座る。
この「つかみ」の構図のユニークさは特に冴えており、それでいて必要以上の装置を用いないのも好感です。哀感を帯びた控えめな劇伴もよかった。

同じ期間で朗読劇『近代能楽集』との2本の戯曲を同時公演する企画で、私は最初、本作も朗読劇と勘違いしていました。
こちらは直球のストレートプレイで、なるほどこの緊迫感はリーディングでは確かにもったいない。
この回はアフタートークがあり、俳優4人が登壇。息ぴったりの若手に囲まれたベテラン森田さんも気概に溢れていて、すてきなカンパニーだなぁと。
今回再演とのことですが、再々演もぜひお願いしたいところです。

2025年12月13日18時30分開演 新国立劇場小劇場

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|SMWS会員|訪問したBAR国内外合わせて200軒超|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|健全な酒活|ブログは不定期更新2,000記事超(2022年11月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性