ミュージカルでこんなにワクワクしたのは久しぶり。や、ミュージカルというよりもアトラクションなんだよね。
日本初上陸の翻訳版『バック・トゥ・ザ・フューチャー ザ・ミュージカル』は、劇団四季とプロダクションの本気が伝わるエンタメです。
ストーリーは映画のシリーズ第1作がベース。
デロリアンを改造したタイムマシンで手違いから1955年のヒルバレーにタイムトリップしてしまった高校生マーティが、タイムマシンを開発した若き日の科学者ドクを探し出し、現世の1985年に戻ろうする。
若き日の両親との出会いとキューピッド役として悪戦苦闘するマーティ、いじめっ子ビフとマーティの追いかけっこ、クライマックスの時計台からのデロリアンのスペクタクル。
映画の勘どころをバッチリ押さえつつ、しっかりとミュージカルにした手腕。アラン・シルヴェストリによるテーマ曲、「THE POWER OF LOVE」「JOHNNY B.GOODE」も当然もれなく。
米国のスタッフが来日して、俳優陣の演技から歌唱指導、美術・装置に至るまで指揮しているのですから。ハズすわけがないのですが、とはいえ素晴らしい。
この記事のアイキャッチ画像では伝わらないかもしれませんが(開演まで限定でステージ撮影OK)、おそらくは客席に入場した瞬間から気持ちが沸き立つはずです。
デロリアンが宙に浮いて疾走するとか、舞台の早替えとか、メーンキャストのソロ歌唱&アンサンブル含む群舞群唱とか、どれもこれもの再現度と世界観を損なわない舞台世界。
アトラクションばりの舞台装置にどうしても目が行きがちなのだけど、やはり「一生懸命やっている人を励まし」「オタクのような少数派やマニアを後押しし」なによりも「未来を変えるのは自分自身」というシンプルなメッセージに心打たれます。
ドクが最後、時計台に雷を通電させてマーティを無事に送り届けた後、誰もいなくなったストリートでひとり快哉を叫ぶシーン。
これは舞台ではよりいっそう、喜びと寂しさが際立っていました。
ミュージカルにしては珍しく男性、ワシも含め言うまでもなく中年が多かったのが印象的。
オリジナルであるロバート・ゼメキス監督の映画を観てなくても楽しめます。がしかし、観ておいたほうが10倍楽しめることは間違いありません。
2025年7月5日 17時30分 @四季劇場 秋