久しぶりにスクリーンで見るジャッキー・チェンさんは、全編とはいかないまでも要所で肉体を酷使するアクションを相変わらず披露しており、その現役ぶりが最も驚きでした。
ラリー・ヤン監督・脚本の『シャドウズ・エッジ』(2025年香港・中国 / 捕風追影 The Shadow’s Edge)は、監視カメラとAIが先鋭化した現代のマカオを舞台に、姿なき暗殺のプロ率いるサイバー窃盗団と警察との死闘を描くアクションです。
『シャドウズ・エッジ』あらすじ
ある資産家の暗号資産が盗まれる事件が発生。20代の男4人による犯行グループは巧みな変装術と身体能力で、マカオ司法警察局の刑事たちの追跡を振り切って逃走する。
事態を重く見た警察局幹部は、警察をリタイアしたホワン(ジャッキー・チェン)を呼び戻す。
ホワンは格闘術や追跡、分析などに長けた伝説的な刑事で、AIに頼りきりの警察に苦々しさを覚えていた。
彼は犯行の男たちを無数の監視カメラ映像から特定し、さらに衣服の一致から5人目を割り出し、その男を1999年を境に姿を消した「影」といわれる元特殊部隊員と推定する。
ホワンは実力がありながらも警察内で孤立している若手刑事ホー(チャン・ツィフォン)をパートナーに抜擢し、自らの捜査術などのノウハウを叩き込む。
ホーは危険を顧みずに「影」ことフー(レオン・カーフェイ)に接近し、その顔の撮影に成功。さらにホワンの機転でフーの住居を特定するが……。
AIとアナログ、師弟愛、擬似家族などの題材を激しいアクションに内包
フーが若者を孤児院から拾って一流の戦闘要員に育て上げるのは、さながら擬似家族の様相。
いっぽうでホワンがホーに目をかけるのは、彼女の父親である仲間の刑事を自らの判断ミスで殉職させてしまった負い目ゆえでもある。
その経緯を知らないホーが、フーに接近する過程でホワンの思いに気づくという、細工をきかせた脚本がうまい。
マカオ警察がAIに犯人の行動予測をさせて次の一手を決めるなどは現状の日本映画ではできそうもないし、それだけで賛否を巻き起こしそう。
こういうところにテクノロジーの進んだ中国と、今や後塵を拝する日本との差を感じてしまいます。
追い込まれた犯行グループがマカオ警察本部を襲撃する後半などは、テロを描いた昨今の映画の潮流なのか。
善も悪も混濁した過激な描写に対する感覚が麻痺しつつあります。
まとめ
畳みかけるようなストーリー展開と怒涛のアクションの中に題材を輻輳させているのに、よく散漫にならなかったなぁと。
おかげで私は鑑賞後、あまりの情報の多さに軽い疲労を覚えましたが。
これくらい詰め込まないと今どきの観客は付いてこないのか。いや、これは作り手のサービス精神の表れなのでしょうね。
サイバー犯罪やAIを取り入れつつアクションはアナログ。そこに香港映画の今を感じます。
ちなみに本作は香港映画『天使の眼、野獣の街』(’07年)のリメイクだそうで、レオン・カーフェイさんが同じ役柄を演じたとか。
続編もあるそうですからそちらも楽しみ。
個人的にはチャン・ツィフォンさんがタイプなので、彼女の再登場にも期待します。
2026年1月28日 TOHOシネマズ上野 SCREEN8(轟音シアター)
