アフィリエイト広告を利用しています。

今松さんの『長崎の赤飯』はハラハラ、でも温かな人情噺

鈴本演芸場2026年4月中席夜の部、むかし家今松主任公演

鈴本演芸場2026年4月中席夜の部はむかし家今松さん主任。「春の今松厳選九話」と題するネタ出し公演、千秋楽を見てきました。

(途中から)
三味線漫談 あずみ
金明竹 扇橋
寝かしつけ きく麿
仲入り
漫才 風藤松原
悋気の独楽 正朝
ものまね 猫八
長崎の赤飯 今松

落語の定番以外の珍品に目がないのですが、それも今松さんの芝居ともなればなおさら。
で、今席の締めくくりは「長崎の赤飯」。「ながさきのこわめし」と読みます。落語会によっては「長崎の強飯」との演題表記もあり。

日本橋の両替商・金田屋が勘当した息子金次郎の消息を女房に問うと、金次郎からの手紙が定期的に届いていると。
女房は主人に内緒で息子と繋がっており、長崎にある預け先の廻船問屋長者屋の娘お園と身を固めたらしい。

金田屋は番頭の久兵衛と相談し、父危篤という嘘の手紙を出して金次郎を長崎に呼び戻す。
金次郎を跡取りにするため、八丁堀与力喜平次の娘おいちとの婚礼を勝手に進めようと画策したのだ。

いっぽう、金次郎がいっこうに戻らないことに業を煮やしたお園は、身重の体を押して長崎から江戸にやってくる。
関所の番人を欺くため、わざと物乞いの姿に“変装”して金田屋にやってきたお園。
久兵衛の入れ知恵で金田屋は咄嗟に「金次郎は死んだ」と嘘をつくが、その矢先に出先から金次郎が帰ってくる。

風呂に入り、身なりを整えて本来の美しさを取り戻したお園に金田屋も婚礼を許そうと改心。
だが、喜平次が関所破りの罪を問うべくお園を連れ去ってしまいーーこんなあらすじです。

予備知識皆無で初めて聴く噺、いやもうハラハラしました。
いったいどうなってしまうんだろうと。

結局お園は不在、やむなくおいちとの婚礼を一時凌ぎに執り行おうとするも、ここから逆転。「なるほど!」なハッピーエンドに。
聴いているこちらは金田屋番頭の久兵衛の浅知恵に呆れ、お園の落胆からの立ち直りに盛り返し、と本作は逆転の連続なのです。

気づけば物語にのめり込み。
見事なストーリーの収斂でありながら、あからさまな歓喜にならない、どうということのないサゲがかえって心に響きます。

構成も金田屋とお園、さらに後半の喜平次のパートと複層的で、一見地味ながら演者の力量が問われる噺であるのだと気づかされた次第。

ちなみにタイトルの由来は今松さんのマクラによると「予想外のこと、突拍子もないこと」を指してのこと。
「長崎の赤飯」はサゲのセンテンスでもあり、巻頭のマクラと巻末のサゲの接続もまた実にきれいです。

またしても今松さんにいいもの見せていただきました。

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|毎日健全な酒活・週5でBAR飲み|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|ブログは不定期更新2,700記事超(2026年5月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性