五街道雲助師匠以下、見事なまでに個性の違う弟子たちが集う一門の会です。
定番人気企画として有名なホール落語会、ようやく伺うことができました。
たらちめ わたし
口入屋 白浪
つづら 雲助
仲入り
鮑のし 馬石
お見立て 白酒
2026年9月2日18時30分開演 日本橋公会堂(日本橋劇場)
隅田川わたしさんと桃月庵白浪さんの後に、いきなり人間国宝が出てきて驚き。
雲助さんがトリを取るのが通常でしょうけど、この会は自由なんでしょうね。雲助さんも早く帰りたいんだろうし。
『つづら』は借金苦の左官とその女房、女房の浮気相手の3人が主要登場人物です。
「間男は七両二分と値が決まり」という警句で始まる噺は、示談金の相場が大判1枚=七両二分に由来するとか。
博打の借金をため込んだ吉蔵は女房のおかねに「成田の親戚に借金の談判をしてくる、帰りは明日か明後日に」と言って出かける途中、荒物屋のおかみに止められ、「おかねに間男がいる」と告げられる。
怒った吉蔵が帰ると、おかねは機転を利かせて大きな「つづら」の中に間男である質屋の伊勢屋を隠す。
つづらの中身を検めようとする吉蔵に、おかねは「借金取りが来なくなったのは金を返したからだとわからないのか、それを開ければお前さんは美人局になる」と啖呵を切る。
吉蔵は悪いのは確かに自分だと反省するが、それとこれとは別とのことで、思案した挙げ句、つづらを背負って伊勢屋に持っていく。
客とはいえ夜遅い来訪、おまけに持ち込まれた質草をみればボロのつづら。
番頭は冷笑して吉蔵を追い返そうとするが、察した伊勢屋の女将が番頭に耳打ちし「七両二分」で引き取ることに。
吉蔵の「番頭さん、流さないでおくれよ」でサゲ。
うーん、こんな変わった人情噺(?)があるのだなと感嘆。
自分のまいた種とはいえ、返済の算段をしている中での女房の裏切りに、誰も傷つかないやり方で意趣返しした吉蔵。
でも女房にしても、着物がボロだから友達と遊ばないと子どもに泣かれては、そりゃあ覚悟のうえで身を投げ出したに違いありません。
手拭いを使って子どもの着物を縫い上げる仕草をする冒頭から、一転して復讐譚となるクライマックスまで国宝の至芸を堪能したのでした。
雲助さん末弟子の蜃気楼龍玉さんが亡くなり、今回から3人に。
「ひとり、二日酔いで欠席です」と雲助さん。
「3人で三景、2つ目をひとり入れて3.5景、それでも足らないから前座を一門から出して3.75景、四捨五入して四景」と続けたまくらが悲しい。
師匠より先に旅立っちゃう弟子なんて、やはり親不孝者だよ、龍玉さん。
