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隅田川馬石師匠の「双蝶々〜権九郎殺し〜」、動と静のコントラスト。

馬石長講十夜「双蝶々」

上野鈴本。トリは隅田川馬石師匠。鈴本演芸場2019年5月下席夜の部は、「馬石長講十夜」と題された全日ネタ出しによるものです。

九日目のこの日は、三遊亭圓朝作といわれる「双蝶々〜権九郎殺し〜」です。人のなす業と、本当の悪とは何かを問う物語、とでも言いましょうか。

全編通してなら2時間にもなるという大作です。

この「権九郎殺し」は、悪事にかけては頭の切れる長吉が主人公。長吉は窃盗の悪事を目撃した奉公先の番頭・権九郎に強請られ、やむなく店の50両を持ち逃げします。

その際に権九郎を殺してカネを独り占めする計画を盗み聞きした奉公仲間の定吉を殺め、さらに外で待ち合わせた権九郎も殺します。

この前後に物語はあるのですが、ここでは割愛。馬石師匠はこの翌日、鈴本でこの続きとなる「雪の子別れ」を披露しています。

定吉を殺して逐電し、権九郎との待ち合わせ場所に場面が移る後半から一転、客席の照明がやや暗くなり。馬石さん自ら座布団と羽織を高座の袖にやり、ここから歌舞伎を彷彿させる芝居のようになります。

この場面も固唾を飲みましたが、それよりも手ぬぐいを駆使して定吉を絞め殺す場面に戦慄しました。掛け守りが欲しいという定吉に買ってやると言って首の寸法を計ろうとするフリをして、殺すわけです。

手ぬぐいをめいっぱい縦に伸ばし、脈を確かめ、さらに手ぬぐいを絞るかのようにとどめをさす。

定吉殺しと権九郎殺しの、静と動のコントラスト。主人公・長吉自身もどうにもコントロールできない、過酷なほうに手繰り寄せらるかのような運命の歯車。

なぜか馬石師匠ではハードな噺に当たることが多いのですが、それもまたいいと思うんですね。

最近どうにも塞ぎ込み気味、おまけに熱も下がらないなか、気分転換にと無理やり夜の部へ。中入り後からでしたが、いやぁ無理にでも行って良かったです。

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hiroki「酒と共感の日々」

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