春風亭一之輔さんがトリを務める、鈴本演芸場の正月二之席(〜2018年1月20日)昼の部。一之輔さんはトリで『味噌蔵』を披露しました。ネタ帳はこちら。
金原亭乃ゝ香「元犬」
春風亭一蔵「猫と金魚」
柳家はん治「妻の旅行」
金原亭馬玉「幇間腹」
柳家三三「釜泥」
三遊亭歌武蔵「支度部屋外伝」
柳亭燕路「安兵衛狐」
入船亭扇遊「垂乳根」
春風亭一之輔「味噌蔵」
三遊亭歌武蔵さん、三遊亭歌司さんは新作でした。歌武蔵さんは元力士という異色の噺家ですが、時期的な相撲ネタが相変わらずきわどかった。元・中の人のならではの解説ですね。
「弟子をとる」という意味で落語界と大相撲界は似ています。では体質や慣習、育て方も同じなのか。全く違うとの歌武蔵さんの解説、説得力にうなってしまいます。その解説だけ聞けば落語界のほうがよほど厳しく、こわい世界だなぁと。
一之輔さんは高座の下手を指し、あの正月飾りには本物のエビが使われてます、元日から日が経ってだいぶ匂ってますが(ホントかいな)というフリ。
そこから、ケチな人をどのような言葉で表現するかの話に移り、病的に吝嗇な主についに我慢の限界をきたした奉公人の噺『味噌蔵』に。
奉公人たちは主の外出したスキに、番頭に「ごちそうが食べたい」と直談判。番頭もその案に乗っかり、一同どんちゃん騒ぎを始めるが、早帰宅した主にバレてしまう。
何を食いたいと尋ねる番頭に、奉公人たちがリクエストする食べ物が可笑しい。ハンバーグから田楽、アメリカンドック(それも棒に付いた焦げ目のところでいいから、と)など。豆腐の存在を知らず、横丁の豆腐屋を「おから屋」と言って聞かない奉公人に番頭が目頭を熱くするという、細かい演出も。食べる表現も上手くてたまらず、おなかが「キュゥウ」と鳴ってしまいましたよ。
「パーッとやりましょう!」と膝立ちして腕を大きく持ち上げて煽る番頭さん、もとい一之輔さんに、客席から拍手が巻き起こったほど。一之輔さんはこういう場のつかみ方も絶妙なんですよね。
それにしても正月の寄席は特にいいですね。着物姿のご婦人や、弁当をつつきながら楽しんでいる3人組など、女性のお客さんがけっこう目立って◎。って、もしや大半が一之輔目当てだったりして。それはそれですごい。