個人的にどうしても行きたかった神戸新開地の寄席小屋、喜楽館をついに訪問!
上方の手練れ三者三様の落語をたっぷり聴けてホクホクです。
桃太郎 米舞
天災 銀瓶
おんどろ 松喬
仲入り
算段の平兵衛 米二
この日の前座、桂米舞(かつら・まいまい)さんは、当代五代目米團治さんの4番弟子。
まくらで自らの年齢(27歳)を見た目と相応か不相応かと自己紹介し、「桃太郎」へ。こまっしゃくれた子どもをチャキチャキとテンポよく。
ツーブロック気味のヘアスタイルも似合っていて、ぜひ今後はっちゃけてほしい。
米舞さんのしっかり者ぶりを褒めた笑福亭銀瓶さんは、その後に自らの師匠(鶴瓶さん)についてのボヤキをひとくさり。
「天災」は気が短く気性の荒い男が隠居に紹介された心学の先生に諭されて心を入れ替えるも、半端に覚えた知識を友人にひけらかそうとして失敗する噺。
銀瓶さんはダンディさと鋭さを併せ持った印象で、どこか東京の噺家さんにも通ずる雰囲気が。
べらんめえ調で喧嘩っ早い男の噺が合っていました。
笑福亭松喬さんは米井敬人さん作の新作落語「おんどろ」を。
泥棒コンビの片割れが持ち帰った盗品の数々、その盗品にまつわる幽霊が続々と出てきて……という噺。
どこかファンタジックで不思議な噺ですが、松喬さんのルックス(三宅裕司と一瞬見紛うたw)も相まって独特の可笑しみが。
ご本人のFacebookによると、昨秋の独演会でネタおろしし今回で2回目の口演だったとか。
「算段の平兵衛」は人間国宝の三代目桂米朝さんが発掘したという上方落語。
金に悩む平兵衛が妾のお花に美人局をさせ、庄屋をはめて金をせびろうとするも、弾みで庄屋が死亡してしまう。
その存在を隠そうとほうぼうに死体を運んで事件を有耶無耶にしようとするが、持ち込まれた死体の処理を穏便に済ませたい庄屋の妻や、隣村の連中が平兵衛に相談を持ちかけるという噺。
ストーリーはオチまで陰惨ですが、桂米二さんは飄々とした語り口で「この平兵衛、一世一代の算段をご覧に入れます」とカネ次第で動く悪辣な男を好演。
ゆえに暗さがまったくなく、一抹の悲哀が残るのが味わいです。
米二さんは今をときめく若手、桂二葉さんの師匠なんですね。後に知ってびっくり。
それにしても。
繁昌亭で最初に落語を聴いたときの、なんともいえないカルチャーショック再び。
江戸(東京)と上方、東西が異なるだけで、同じ落語なのにどうしてもこうも違うのか。
オーケストラでいう指揮者の違いでもない気がする。強いて言えばジャズの変奏曲を聴いているとでも言いましょうか。
うまく言えないけど、とにかく上方落語をもっと聴きたい!
喜楽館は小規模ながら2階席もあるホールで、この日はほぼ満席。
お土産で購入したオリジナルの手ぬぐいは、下部が空白のデザインです。
どうやら空白部分に演者のサインをもらえということらしい。
意味不明だったのですが、会を終えてロビーに出ると、演者3人がお客さんをお見送りしていて仰天!
高座を下りたばかりの米二さんもいらっしゃる!
なるほど、おそらく演者さんに手ぬぐいとマジックペンでも持っていけばサインしてくれるという寸法なのでしょう、たぶん。
ここまでやるのかのサービス精神を垣間見ました。
喜楽館も演者さんもすばらしい。尊敬しかありません。今度は定席に来ます。
2026年8月29日18時開演 喜楽館

