今も修学旅行の定番なんですかね、鹿苑寺金閣って。
小学生のときだったか、最初に金閣を見た際に抱いた作り物みたいな印象は今に至るまで変わっていません。
とにかく眩いばかりの金ピカの外観に、人工的な作為を感じずにいられなかったものです。
三島由紀夫の『金閣寺』(新潮文庫、1956年、新潮社初版)は、1950年に徒弟僧の放火によって金閣が消失した実際の事件にヒントを得て書かれた小説で、三島の代表作といわれています。
三島が本作を書いたのは31歳。
主人公・溝口の一人称小説と体裁には、当時の三島の激烈な内面が映されているかのようで、いささか苦しさも覚えながら読み進めていく感じです。
例によって三島特有の高級で窮屈な美文がくまなく配された小説ですが、要素はどれも等身大の若者の葛藤だったりします。
青年期特有の旺盛な異性と性欲への関心、友人たちとの議論と友人の移り変わり(付き合いの鞍替え)、そしてずっと後になって噛み締める真の友人の尊さ。
老師の説教を受けて自身に絶望し、一人旅を経てついに「金閣を焼かなければならぬ」と破滅に突き進んでいくプロセス。
溝口青年のかかわる人間関係と、道のりの相克は痛々しくあるのだけど、これが別世界の狂人の話かというと決してそうではない。
誰もが少なからず心に矛盾を抱えてなんとか折り合いをつけて生きている。
ゆえに三島が容赦なく研ぎ出す若者の咆哮が鋭利な刃となって読み手に刺さるのでは。
ひとりの若者の足跡というより人間のサガを映しているからこその傑作なのだろう、と吐息をつきながら読み終えたのでした。
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