約3年にわたる修繕工事を経て、2019年3月29日に再開館した東京都現代美術館に行ってきました。
施設自体の設計はほとんど変わっていませんが、設備が更新され、レストランなど憩いの場も増えている印象。もともと広々とした場所であるうえに、リフレッシュしてさらに気持ちのいい空間に生まれ変わっていました。
リニューアルオープン記念展『百年の編み手たち―流動する日本の近現代美術―』という企画展を開催中です(~2019年6月29日)。
編み手といっても編み物をする人のことではなく。解説によると、芸術の革新性と従来の表現方法を「編集」し、社会の現実と向き合いながら、作品を創出するアーティストの作品をリコメンドするというのがテーマのようです。
展示は1910年代の岸田劉生から現在のホンマタカシ、会田誠の作品まで、全14章からなる構成。上述の編集とは、今どき別段珍しい試みではない気がしますが、ここで展示されているのは、社会情勢や他のアーティストの作風、世界の芸術運動まで、いろんな影響を受けた「ハイブリッド的作品のマイルストーン」といえそうです。
なかでも。前川千帆、藤森静雄、恩地孝四郎、逸見享、平塚運一、川上澄生、深沢索一、諏訪兼紀が共同制作した『新東京百景』。すべてカラーで昭和初期の東京を描いた版画集ですが、これは東京の特に東側に住む人はぜひ見てほしい作品です。
ひとつひとつが浮世絵のように小さいですが、関東大震災から復興に立ち上がった東京がとても愛らしく凝縮され、作家のあたたかな目線が感じられます。
後半に進むにつれ、親しみのある美術家が続々と。横尾忠則、福田美蘭、会田誠、森村泰昌……。自分の好きなアーティストの作品と久しぶりに会うことができて、うれしいうれしい。大いに楽しみました。
同時開催されているコレクション展も、現代を彩る気鋭のアーティストの作品が揃っています。こちらもぜひ。