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【名作ドラマ】『混声の森』:もはや現代で再現不可能、重厚濃密なドラマ

『混声の森』リバイバル上映

都内私立女子大の若葉学園は教授と学生との不適切な関係が週刊誌に書かれるなどのスキャンダルに見舞われていた。
文系学部を増設しようと経営拡大路線を図る大島理事長(佐藤慶)と対立する専務理事の石田謙一(丹波哲郎)は、大島が職員の秋山(浅茅陽子)と愛人関係にあることをつかみ、その密会写真を大島追放の切り札にする。

学内改革に奔走する石田もまた、バーのマダム加寿子(いしだあゆみ)を愛人にしていた。
加寿子の妹分ルミ子(かたせ梨乃)と大学受験を控えた息子恭太(永島敏行)との関係を疑う石田は、逆にルミ子に誘惑され関係を持ってしまう。

大島の失脚を狙う石田は京都で隠居生活を送る法曹界の権威、柳原(東野英治郎)を新学長に迎え入れようと画策。
柳原を口説くため出張した石田は密かにルミ子を同伴するが、帰り道の京都でルミ子が事故死する。
倒れているルミ子を見た石田は衝撃を受けるが、彼女を放置したまま新幹線で帰京してしまう。

石田の懐刀的存在の鈴木事務局長(滝田裕介)は、今が攻めどきと大島と秋山の密会写真を預らせてほしいと石田に迫る。
大学に投書が舞い込んだと装い、石田と鈴木は秋山を事情聴取する。大島は秋山への追及を止めるよう石田を懐柔にかかり、応じなければ専務理事の座を解任すると恫喝。
ふたりの対立は避けられないものとなっていく。

1978年のファーストラン以降、一度も再放送されなかった『混声の森』(TBS)が48年ぶりに劇場スクリーンで放映されると聞き、初日に行ってきました。
全5回のうち前半の3回が2026年11月5日まで、後半の2回が11月6日〜11月12日までイオンシネマ板橋で上映されます。

いかにも松本清張原作らしい人間模様まんだら的サスペンスで、登場人物全員もれなく酷い人たちw

丹波哲郎が善玉で佐藤慶が悪玉という単純な二項対立などではなく、丹波哲郎=主人公の石田もまた相当なモラハラ野郎で、再放送が難しいのも納得。
一人息子恭太(永島敏行が若い!)の素行不良を妻の保子(市原悦子)ひとりのせいにして、「お前の教育が失敗したからだ」となじる。

あろうことか恭太が入れ上げるルミ子と関係を持ち、加寿子に内緒で京都での逢瀬を楽しむという教職の風上にも置けないモテモテジジイなわけです。
こんなん許されてたまるかw

俳優の濃すぎる演技に胸やけ気味

この時代のドラマはフイルムで撮っていて、それがまた映画っぽい味わいでたまらない。
5時間のスペシャルドラマとして撮影されたものの、何かしらの事情で全5回の連ドラとして放送されたそうです。
本作が放送された火曜21時の真裏は常時20%超の視聴率を獲得していた石原プロの刑事アクション『大都会PARTIII』(日本テレビ)。

当時の視聴率は不明ですが苦戦したのかも。実にもったいないですが、とはいえガチで挑むだけの力作であることは間違いありません。

この時代ならではの男尊女卑的な場面もあり、今の時代には不適合ですが、俳優の演技と存在は重厚そのもの。
佐藤慶(当時50歳)と丹波哲郎(当時56歳)のアダルトかつダンディなツーショット画だけでもおなかいっぱいなのに、顔のアップがやたら多いものだから思わず目を背けたくなる。疲れるw

市原悦子はその後『家政婦は見た!』(テレビ朝日)などで人気を得ますが、本作では夫に否定され息子に暴力を振るわれ、自己否定を延々と続ける怪演。

女優はすでに「ブルー・ライト・ヨコハマ」をヒットさせていた、いしだあゆみのオリエンタルな美しさ。さらに当時大学生だったというかたせ梨乃がコケティッシュな魅力を振りまきます。
浅茅陽子は役として垢抜けない女性を演じていたものの、やはりひじょうにきれい。丹波哲郎に逆ギレする場面は彼女が出ていたエバラ食品工業のCMを思い出しました。

しかし個人的に最も刺さったのは、何を考えているのかわからない事務局長を演じる滝田裕介で、この人はいろんなドラマでキーパーソン役の助演が光っています。
この後の展開でカギを握りそうなキャラで、後半も楽しみです。

かたせ梨乃さんによるアフタートークも

初日ということでかたせ梨乃さんがトークゲストに。
すでに鬼籍に入った主要なキャストが多いなかで貴重な存在です。

当時20歳超えたばかりでモデルなどしながら挑戦したという本作は「ほとんど覚えていない」とか。
とはいえ気さくな丹波さんとの仕事の裏話は聞いていて楽しいし、役柄や脚本への鋭い考察はさすがです。

トークの司会を務めた制作会社テレパックのプロデューサーさんによると、まだ蔵出し作品があるとかで楽しみ。
テレパックといえばTBS系の2時間ドラマや『男女7人夏物語』(1986年、TBS)などのヒット作、ヒットメーカーたるテレビマンを多数送り出す老舗です。

テレビの黄金時代を支えたプロダクションの知られざる作品、まだ触れられる幸運に感謝。

2026年10月30日 @イオンシネマ板橋スクリーン1

この記事を書いた人

hiroki「酒と共感の日々」

hiroki

Webの中の人|ウイスキー文化研究所(JWRC)認定ウイスキーエキスパート|毎日健全な酒活・週5でBAR飲み|会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」でBAR訪問記連載(2018年)|ひとり歩き|ブログは不定期更新2,700記事超(2026年5月現在)|ストレングスファインダーTOP5:共感性・原点思考・慎重さ・調和性・公平性