美内すずえさんの少女漫画の原画400点を公開する展覧会『連載40周年記念 ガラスの仮面展』、大盛況でした。松屋銀座で9月7日まで開催された後、12月には京都・伊勢丹7Fに併設されている、美術館「えき」KYOTOに巡回するそうです。
この展覧会は原画だけでなく、グッズの数とアイデアもすごい。グッズ売り場はチケットを買わなくても入れます(アイキャッチに写っていませんが、紫のバラの右側です)ので、だまされたと思って覗いてみてください。「よく考えたよね」的な数々に仰天、大笑いすること必至です。
ぼくが見たところ、原画は主に3部にカテゴライズされ、それぞれの名場面が額装展示されていました。
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- 舞台作品ごと
劇中劇の体裁をとっている漫画ですから、演目ごとの名場面集が分かりやすいですね。『たけくらべ』『嵐が丘』や、もちろん『ふたりの王女』も。 - キャラの活写ごと
マヤが「ブツブツ」と暗唱しながらセリフを頭に入れていく場面、怒りや役の世界に入り込む人物の鬼気迫る描写「白目」、身体の動きを千手観音像のように見せる「コマ送り」。その極端なデフォルメがたまりません。 - 主要キャラごと
北島マヤ、姫川亜弓、月影千草の名場面と名セリフをハイライトで展示。なかでも、速水真澄は専用の一室が設置されているほどで、ファンの熱気ムンムン。部屋もなんだか異様な暑さでした。会場の松屋銀座8Fイベントスクエアは女性を中心に、肩がぶつかるくらいのけっこうな混雑。ぼくは16時前後に足を運びましたが、ゆっくり観るには閉館間際が狙い目ではと思います。展示の導線は自由です。が、会場が狭いうえに原画が非常に小さいので、ひとつひとつ凝視して足を止める人が多く、なかなか列が前進しません。中には涙ぐみながら原画を見つめている人もいるくらいでしたから、まぁ仕方ないですね。
- 舞台作品ごと
が、しかし。最も驚いたのは展覧会出口から先。「喫茶月影」と銘打たれた喫茶スペースは本展だけのオリジナルドリンクが。なんと行列までできていたので見送らざるを得ませんでしたが、ちょっと体験してみたかったなぁ、白目パフェ。
グッズ売り場には、さらに「どひゃー」です。クリアファイル、吹き出し付きポストカードなどは序の口。屈指の名場面から着想を得た商品「泥まんじゅう」はチョコクランチだそうで。消え物の企画性に大笑いしました。
当初ぼくは買い物などする気は皆無だったのですが、気がついたらレジに持って行ってしまってました。い、いかん、ついつい。こちらが戦利品なり。
図録、パタパタメモ(吹き出し部分にメモを書き込むのか)、アイマスク、一筆箋、文庫本カバーです。アイマスクは月影先生の柄もありました(リバーシブルになっていて、裏は白目バージョンです)。
そうそう、展示会ラストで美内すずえ先生のインタビュー(ビデオメッセージ)が流れていました。やはり未だに完結しない物語に、言及しないわけにはいかなかったのでしょう。
「私は結末をあきらめていません」
と話されてました。これはうれしいですね。
ヒロイン・北島マヤが
・「紅天女」の主役を姫川亜弓と争った末に勝ち取る
・速水真澄と結ばれる
先生はこの両取りを「ない」と明言されてます。
そこまで決まっているのであれば、あとは先生の筆の進みを待つのみ。いちファンとして先生には、あと一歩踏み込んで「いつまでに描く」と明言していただければ最高でした。
「あきらめてない」のはファンも同じ。いや、そう先生に言いたいファンは少なくないはずです。