フォトリーディングという速読法の”仮免許”を持ってます。以前より多少は早くなった、集中力が増した程度で、習得する、身につくまでに至ってないのが現状。それどころかもはや忘れてしまっているのが正直なところです。が、ライフネット生命保険の代表取締役会長兼CEO・出口治明さんの新書『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』(角川oneテーマ文庫)を読んで、衝撃を受けました。「速読よりも熟読」と主張されているのですから。
この言説には大いに勇気をいただきました。ときどき流し読みしてしまい、慌てて戻って目繰り返すこともあるくらいですから。そんな読書下手のヤツでも、読みたいものを愚直に読み通していいんだなぁと。
本著を超ざっくりいえば、「読み飛ばすな」「古典推し」「ビジネス書否定」。読書は著者との1対1の勝負。襟を正し、正座するくらいの姿勢で本と向き合うという考えに打たれました。人の話を聞くときにメモを取らないというのも、インタビューする人にとってはなるほどとなります。本を人に置き換えて考え、それくらい集中して臨めば、案外内容を忘れないものだ、と。
なぜ古典が読み継がれてきたのか。他方、ビジネス書はなぜ勧められないのか。この解説から出口さんの確固たる哲学が浮かび上がります。
教養とを身につけるには「人・本・旅」から学ぶ。これはぼくも真似して使いたいくらい、全く同感です。一度駆け足で読みましたが、本著は改めて精読したいです。後半の「目的別のお薦め本」だけでも、資料価値あり。文学回帰を期した今年、端から読みたいぞ。