宝塚歌劇星組『ロミオとジュリエット』を観てきました(2021年5月15日マチネ)。
トップスター・礼真琴さんの孤軍奮闘といった2幕です。
東京宝塚劇場で5月23日まで。
フレンチミュージカルの輸入版である”ロミジュリ”は、小池修一郎さんの潤色・演出で宝塚歌劇5回目の上演。
この作品にさほど思い入れはないのですが、観るとヤラレテしまう。
礼さんは入団2年目のとき、この作品の日本初演で「愛」という小池さん考案の象徴的な役で抜擢。
2013年の公演ではベンヴォーリオと愛の役替わり&新人公演主演という離れ業をやってのけました。
今回トップスターとなって満を持しての主演ですが、気負いが案の定ない。
それどころか彼女は難しい歌唱もダンスも、いとも軽々と見せてしまう。
持ち前の陽キャもあって、どうしたって目を引きます。
今回はロミオ役に全力投球できますから、むしろラクだったりして。
礼さんとジュリエット役の舞空瞳さん以外、独唱パートを持つ人はものすごく苦労している印象。
ベンヴォーリオ役の瀬央ゆりあさんは、努力の跡がわかりました。
礼真琴と、礼真琴以外。
歴然とした差分を感じてしまい、観ていてある意味ツラいものがありました。
難しい曲のオンパレードなので仕方ないことですが……。
礼さんの圧倒的な才能は、まるで名作漫画『ガラスの仮面』の北島マヤを彷彿させるものがあります。
もしも朝海ひかるさんばりのバレエを礼さんがこなせるなら、もはや完全無欠ですが……少しくらい弱点がないとね。
この作品自体はシェイクスピア作品の現代版換骨奪胎であり、内容を知ってたって固唾を飲んで見入ってしまう。
前半の仮面舞踏会での劇的な出会いでの、あの「好きになる瞬間」のビビビ感。
神の残酷さを表した、クライマックスの服毒シーン。
礼真琴&舞空瞳のフレッシュなコンビが演じる「恋に走って周りが見えなくなる男女」は、説得力があるんですよね。
ちょっと幼いルックスや雰囲気もまたハマる。
昨年11月の『エル・アルコン-鷹-』以来、今年初の宝塚観劇でした。
うーん、礼真琴さんの向こうを張りつつ、星組全体を盛り上げる「もう一枚」のタレントがほしいと思うのは、ないものねだり?
複雑な気分にもなった観劇後ですが、次回公演も楽しみにします。